「C-HR」が苦戦?人気SUVが飽きられ始めた理由 好調だったSUVだが、直近では登録台数が減少

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ところが最近は、好調に売れてきたSUVの登録台数が下がり始めた。

2019年1月と2月の小型/普通車登録台数ランキングを見ると、C-HRが依然としてSUVのトップだが、登録台数は昨年に比べて20%以上も減った。2017年は前述のとおりランキングは4位だったが、今は12~17位だ。2018年(暦年)も、C-HRは対前年比が35%減って12位だったから、販売下降が続いている。

ハリアーの登録台数も昨年に比べて約15%減り、日産エクストレイルは30%(2019年1月)、スズキクロスビーは13~20%、それぞれ減少した。

このようにSUVの売れ行きが減った背景には、複数の理由がある。最も大きく影響したのは、SUVというカテゴリーの人気が落ち着いたことだ。

2018年11月にはレクサスUXが発売され、2019年4月10日にもトヨタRAV4が登場するなどSUVの投入は続くが、以前ほど注目されるカテゴリーではなくなった。ネッツトヨタ店では「RAV4は3月7日から見積りを出して受注を行っているが、3月中旬時点の注文で納車は6月頃だ。納期が大幅に伸びる状況ではない。C-HRも1カ月から1カ月半で納車できる」という。

ちなみに2016年にC-HRを発売した背景には、急上昇するSUVの人気に対応する目的があった。ホンダが国内販売を終えたCR-Vを2018年に復活させたのも、同じ理由に基づく。この数年間で各メーカーとも大慌てでSUVの品ぞろえを増やしたが、ユーザーとしては、以前ほどSUVが気になる存在ではなくなった。

SUVは「熱しやすく冷めやすい」

2つ目の理由は、SUVの販売動向がもともと「熱しやすく冷めやすい」ことだ。先に述べたように商品特徴としてカッコよさがあるため、軽自動車やコンパクトカーに比べると、クルマ好きの購入比率が高い。

そうなると新型車が発売されたときに、無駄を抑えるために「今使っているクルマの車検満了に合わせて買う」とは考えず「欲しいからスグに契約!」と話が進む。売れ行きは一気に伸びるが、下降に転じるのも早い。昔はスポーツカーなどがこの売れ方だったが、今は新車がほとんど発売されず、SUVが「熱しやすく冷めやすい」カテゴリーになった。

逆に実用的な車種は、ユーザーが自分のクルマの車検満了に合わせて乗り替える。したがって新型車の発売直後に売れ行きが急増することはないが、商品力が高ければ需要を持続できる。

そのために小型/普通車の日産ノート、トヨタプリウス、トヨタアクア、軽自動車のホンダN-BOX、スズキスペーシアなどは、発売から長い期間にわたり販売ランキングの上位を守る。SUVの人気が長続きしないのは、カッコよさ、つまり趣味性を特徴とするクルマの宿命でもあるだろう。

SUVのボディーサイズや排気量、価格も人気の持続力に影響を与えた。前述のようにSUVは、ボディーのワイドな3ナンバー車が中心だ。売れ筋の価格帯も250万円以上になる。安価な車種でも、日産セレナやトヨタヴォクシーといったミドルサイズミニバンと同じ価格帯で、上級になればトヨタアルファード&ヴェルファイアの領域に踏み込む。

価格が高めで一般的には購入しにくいから、SUVの需要を今後も堅実に保つには、ジュークをフルモデルチェンジするなど、200万円前後のコンパクトなSUVを充実させる必要がある。

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