「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ
幼い子どもを抱える社員の間では、ホーム・オフィスは好評である。「毎週金曜日は、ホーム・オフィス」と決めている社員も少なくない。1990年代までドイツでは、社員に対して「午前9時から午後3時までは、オフィスにいる義務」を課す企業が多かったが、最近では「オフィスにいなくても、成果が上がればよい」と考えるのが当たり前になっている。
ドイツ政府と産業界が一体となって進めている製造業のデジタル化プロジェクト「インダストリー4.0」が普及すれば、銀行や保険会社だけではなくメーカーでも自宅からの作業が可能になる。
有給休暇は「30日」が基本
もう1つ、日独の働き方の大きな違いは、有給休暇である。1963年、つまり今から半世紀以上前に施行された「連邦休暇法」によって、企業経営者は社員に毎年最低24日間の有給休暇を与えなくてはならない。
だが実際には、ドイツの大半の企業が社員に毎年30日間の有給休暇を与えている(有給休暇の日数が33日の企業もある)。これに加えて、残業時間を1年間に10日間まで代休によって振り替えることを許している企業も多い。つまり、多くの企業では約40日間の有給休暇が与えられていることになる。
さらに土日と祝日も合わせると、ドイツ人のサラリーマンは毎年約150日休んでいることになる。1年のうち41%は働かないのに会社が回っており、ドイツが世界第4位の経済大国としての地位を保っていられるのは、驚きである。
OECDが2016年12月に発表した統計は、各国の法律で定められた最低有給休暇の日数、法定ではないが大半の企業が認めている有給休暇の日数と、祝日の数を比較している。ドイツの大半の企業が認めている有給休暇(30日)と祝日(9~13日間=州によって異なる)を足すと、39~43日間となり世界で最も多い。日本では法律が定める最低有給休暇(10日)と祝日(16日)を足すと、26日間であり、ドイツに大きく水をあけられている。
日本の特徴は、法律が定める有給休暇の最低日数が10日と非常に少ないことだ。これはドイツ(24日)の半分以下である。しかも、ドイツでは大半の企業が、法定最低日数(24日)ではなく、30日という気前のいい日数の有給休暇を与えている。
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