「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ
事業所監督局は、とくに悪質なケースについて、経営者を検察庁に刑事告発することもある。例えば企業経営者が一度長時間労働について摘発された後も、同じ違反を何度も繰り返したり、社員の健康や安全に危険を及ぼすような長時間労働を強制したりした場合である。
裁判所から有罪判決を受けた場合、企業経営者は最長1年間の禁錮刑に処せられる可能性がある。長時間労働を社員に強いるブラック企業の経営者には、罰金ばかりでなく刑務所も待っているのだ。つまり、労働時間の規制を守らない経営者は、「前科者」になるリスクを抱えている。
企業の中には、罰金を科された場合、長時間労働をさせていた部長、課長など管理職にポケットマネーで罰金を払わせることがある。さらに長時間労働を部下に強いていた管理職の社内の勤務評定は非常に悪くなる。このため、ドイツの管理職たちは繁忙期でも社員たちに対し口を酸っぱくして、1日10時間を超えて働かないように命じるのだ。
10時間を超える労働には警告
会社によっては、1日の労働時間が10時間近くなると、社員のPC画面に「このまま勤務を続けると労働時間が10時間を超えます。10時間を超える労働は法律違反です。ただちに退社してください」という警告が出るケースもある。
また、管理職のPCの画面に、部下の1日の労働時間が10時間を超えると警告が出るようにしている企業もある。このようにしてドイツの管理職たちは、売上高や収益を増やすだけではなく、部下たちの労働時間の管理にも心を砕かなくてはならないのだ。
日本の働き方改革は残業時間に上限を設けるものだが、ドイツでは1日あたりの労働時間に上限を設けている。これは大きな違いである。
ドイツの企業では、自宅のPCから企業のサーバーにログインして働く「ホーム・オフィス」制度も急速に広がっている。とくに金融サービス業界では、書類の大半が電子化されているので、自宅からの労働が可能になる。会議には電話で参加する。自宅で働いた時間は、会社に自分で申告する。
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