「前払い退職金」を現金でもらうと大損する理由 新社会人や20代社員は絶対に知っておきたい

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その理由は、何と言っても「働く女性が増えた」からでしょう。同じく「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、過去5年で「第3号被保険者」――厚生年金加入者に扶養されている配偶者が約100万人減り、その一方、自分で厚生年金に加入している「第2号被保険者」の女性は約400万人も増えています。

人手不足が深刻化するなかで、正社員として雇用される女性は増えつつあります。また「パート年収の壁」に関する制度変更も行われました。パートでも「年収130万円の壁」を超えると夫の扶養から抜けますが、そこにもう一つ、「106万円の壁」もできたのです。

勤務先が従業員501人以上の企業で、一定の要件を満たすパートは、年収106万円を超えると社会保険に加入しなければいけなくなりました。それによって厚生年金加入者となった女性も増えているのです。

老後、国民年金に加えて厚生年金ももらえる女性が増えているということですから、公的年金制度の健全性維持の観点から見ても、年金を受給する女性の側から見ても、とてもよいことだと思います。

「壁」を超えて夫の扶養を外れると、パートは自分で社会保険料を払うことになるので手取り金額が少なくなり「働き損だ」という声もあります。でも、思い切って「壁」を超えて働いて、厚生年金に加入すれば、将来の給付額が増えるだけでなく、もし障害を負った場合は障害厚生年金が受給できます。

退職金は公務員が400万円減、民間も100万円減

一方の退職金の水準は残念ながら平均では減っているようです。人事院は5年ごとに「民間の退職金及び企業年金の実態調査」を行っていますが、2011年と2016年の調査結果を比べると、民間・公務員ともに、退職給付水準は減少していました。

公務員の定年時の平均支給額(退職手当と共済年金の給付現価額の合計、勤続38年で比較)は、この5年間に約400万円減っていました。しかしこれは、11年当時に退職給付水準の官民格差が約400万円あり、人事院から勧告されたことが実行された結果です。ところが、同じ5年間で、民間の退職金の平均額も残念ながら100万円ほど下がっています。

さらに、経団連が2018年12月に公表した「2017年度福利厚生費調査」を見てみると、会社が社員の退職金を積み立てるために支出している額は、2003年度の社員1人あたり年間平均9万2037円をピークに減り続け、2017年度には4万6125円となり、ほぼ半減しています。これには、ちょっと驚きました。

サラリーマンの退職金の支給額が減っているうえに、会社が積み立てる金額も減っているわけですが、これはなぜでしょうか。2つの理由が考えられます。団塊世代への退職金支払い終わったこと、そして現行の退職金制度そのものが大きく変わりつつあることが影響しているのです。

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