FRBの明るい景気認識の裏にある不都合な真実

世界的な成長鈍化に歯止めはかからない?

ステート・ストリートのグローバル・マクロ・ストラテジスト、マービン・ロー氏は「FRBが口に出さずに把握していることは何だろうか」と疑心暗鬼の状態。バンク・オブ・ウエストのチーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「われわれは何か新たな不安要素が出てくるのを覚悟していると思う」と述べた。

金融市場も同じ見方で、短期金利先物は急速に来年の利下げを織り込みつつある。

ただ逆に一連のFRBの態度で、「不都合な真実」が確認できたように思えるとの声も出ている。それは世界の経済成長が既に峠を越え、各国は低成長モードから抜け出せずに失速を防ぐためには、財政政策への依存を続けるという状態だ。さらに今後景気後退(リセッション)が起きれば、経済立て直しという負担まで背負わなければならない。

PGIMフィクスト・インカムのチーフエコノミスト、ネーサン・シーツ氏は、一時的な浮き沈みが過ぎた後でも視界は開けてこないと指摘する。FRBの考えでは、長期間2%足らずの成長が続く見通しになっており「米国のこれまでの基準に照らせば、素晴らしいとは言えない」という。

日本や欧州も似たような苦境に見舞われている。そこで、低金利の長期化を考えると、より規模が大きく経済的に活力のある国がインフラや教育など明確な公益をもたらす投資のために、借り入れを増やすのが妥当ではないかとの世界的な議論が日増しに強まっている。

世界的な経済の下振れに歯止めかからず?

国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めたオリビエ・ブランチャード氏は最近のピーターソン国際経済研究所における記者懇談会で「現在は異なる世界になっている。われわれは金融政策が非常に制約され、財政(政策)が中心になる状態へと向かう」と語った。

そして目下の問題は、現在の低成長がずっと継続し、FRBが最新の見通しで示した「ソフトランディング」へとつながるかどうかだ。

トランプ政権からは今年の成長率が3%付近を維持し、17年の時限的な所得減税を恒久化すれば、数年間はさらに成長が加速してもおかしくないと、すごぶる強気の予想も出ている。

それはともかくとしても、昨年米国や各国の当局者が言い始めた世界同時成長の時代が幕を開けたというストーリーは、現実離れしてきたことが証明されるのではないか。

バンク・オブ・ウエストのアンダーソン氏は「米国が利上げを停止しても、世界的な経済の下振れに歯止めをかけるには不十分だ」と述べた。

(Ann Saphir記者、Howard Schneider記者)

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