川島永嗣「36歳日本人GK」の危機感と日々の葛藤 楢崎の引退メールに涙、フランスで思うこと

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川島永嗣(かわしま えいじ)/プロサッカー選手。1983年3月20日、埼玉県生まれ。大宮、名古屋・川崎を経て2010年から欧州挑戦。2018年8月よりフランスのRCストラスブール加入。2007年から日本代表。ワールドカップには南アフリカ、ブラジル、ロシアに3大会連続で出場(筆者撮影)

自身の近未来像はまだハッキリとは見えていないという川島だが、日本代表を目指す気持ちは変わらない。森保一監督体制になって大幅に若返った新生ジャパンにはポジティブな印象を抱いているようだ。

「アジアカップのメンバーを見ても、未来に向かっているなと感じました。今までは若い世代が過小評価されがちだったですよね。ロシアまでは『新しい選手が代表にきても結果を残せない』といった悲観的な見方が多かったですから。でも今は若い選手たちが実力を証明できるチャンスが広がっている。

彼らがヒデ(中田英寿)さん、俊(中村俊輔=J1・ジュビロ磐田)や圭佑たち先輩たちを超えていかなければいけないと思います。ヒデさんがイタリア・セリエAで残した衝撃は僕ら世代にしてみればすさまじいものがありましたし、日本代表をワールドカップ常連にしたという意味でも大きな足跡を残された。

そのインパクトは南ア、ブラジル、ロシアを戦ったメンバー以上かもしれない。そういう人たちを追い越す選手が出てこそ、日本代表は強くなる。GKに関してもそうだと思いますね」

川島が日本サッカー界にもたらすものは少なくない

森保監督は過去の代表実績をリスペクトし、彼らと若い世代を組み合わせて、代表のレベルアップを図ろうという姿勢を鮮明にしている。今回の3月2連戦で香川真司(トルコ=ベシクタシュJK)が呼び戻されたように、川島が再招集される日が近いうちにこないとも限らない。それを現実にするためにも、彼は現所属先であるストラスブールでの公式戦出場というハードルを超える必要がある。

そして今季終了後にどういう道を歩むかという点も重要になってくる。川口・楢崎という先人たちの思いを受け継ぐ現役ベテランGKの動向が日本サッカー界にもたらすものは少なくないだけに、川島にはここから先も彼らしく、貪欲に前進を続けていってほしいものである。

(文中敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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