川島永嗣「36歳日本人GK」の危機感と日々の葛藤

楢崎の引退メールに涙、フランスで思うこと

「僕は代表にいたときからずっと言っていますけれど、日本人GK一人ひとりが『自分たちの置かれた環境を変えてやる』という意識でいなければ、何も変わらないと思います。2016年夏にメス(フランス)に行ったときも第3GKからのスタートだったけど、チャンスがある限りフランスリーグで挑戦しないことのほうが大きなリスクだと感じました。試合に出ていないときもずっと『自分はやれるんだ』と思っていたし、それはストラスブールで出場機会を得られず苦しんでいる今も変わりません。

メスに行って僕は初めて欧州5大リーグに参戦しましたけど、対戦相手の瞬間的なアクションやスピード感、決定力、そしてサッカーインテリジェンスという部分がそれまで経験したリーグとは根本的に違うなと感じました。フランスリーグは1月を過ぎるとインテンシティー(強度)が一気に上がるんです。前半は8割くらいの力で戦っていますが、終盤になって上位争いも残留争いも現実味を帯びていく。そういう面白さを感じたからこそ、今の状況を何とかしたいですね」と川島は今、自身自身を奮い立たせている。

彼のような闘争心あふれる男がJリーグに戻ってきてくれれば日本人GKの地位向上もかなうし、彼自身の日本代表復帰も可能性が高まるのではないかという声も根強い。2019年アジアカップ(UAE)に参戦した権田修一(ポルトガル=ポルティモネンセSC)らGK陣が不安定さを垣間見せたこともあり、川島待望論が徐々に高まっているのは事実だろう。

僕は貪欲にチャレンジして葛藤したい

「ストラスブールとの契約は1年なので、あと2カ月したらまた次の身の振り方を考えなければならないのは確かです。以前は欧州へのこだわりが非常に強かったですけど、今はすべてオープンに考えているし、ロシアの後も日本を含めていろんな選択肢を考えました。その時点では自分のレベルをより引き上げるためには、目の前にある(フランス残留という)チャンスをつかまなかったら、自分が思い描いている高みにはたどり着けないのかなと感じて、今のクラブを選びました。

ただ、この先はどうなるかまだわからない。圭佑(本田=オーストラリア・メルボルン)のような選択肢もあると思うし、大陸に垣根はない。欧州じゃなければいけないということもないと思います。ただ、日本代表に呼ばれるために環境を選ぼうとは考えていません。

そういうキレイなストーリーが完結するならすばらしいことだけど、僕は貪欲にチャレンジして悩み葛藤することで、結果的に何かを代表に還元できたらいい。そういう考え方なんです。そのせいで家族には迷惑をかけていますけどね(苦笑)」

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