2度墜落した「ボーイング最新鋭機」に漂う不安 各国で運航停止続く「737MAXシリーズ」

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一方、メーカーのボーイングからみて、CAACによる「737MAX8運航停止の判断」は極めて厳しい決定だったと言える。中国航空各社は同型機を合計180機発注、ボーイングが中国にこれから納める機体の約85%はMAXシリーズが占めている。同社は中国のジェット機市場について「史上初の1兆ドル(110兆円)規模に達するマーケットとなる」と予測しているが、その主力の販売先で自社の稼ぎ頭が飛べなくなる、という影響はことのほか大きいものと言えるだろう。

一時運航停止の動きが広がっている

運航停止を決めたのは、中国だけにとどまらなかった。先に同型機の墜落事故を起こしたインドネシアが安全上の不安から同国の航空会社に対して運航停止を勧告、多くの国も同様の措置を取っている。

737MAX8の一時運航停止(順不同)
・エチオピア(4機)
・中国(70機以上)
・シンガポール(6機)
・インドネシア(15機)
・イギリス(5機)
・メキシコ(6機)
・アルゼンチン(5機)
・ケイマン諸島(2機)
・南アフリカ(1機)
・韓国(2機)
・モンゴル(1機)
・ノルウェー(18機)
・ポーランド(5機)
(注)13日15時現在、上記のほかに、リース会社の保有機もある

加えてオーストラリアが「737MAX8の自国空域の飛行禁止」を打ち出したほか、ベトナムは現在、MAXシリーズの機体を保有する会社がないものの「同型機の新規登録の申請があっても当面は認めない」とする通知を出している。シンガポールに至っては「737MAX8だけでなく、MAXシリーズ全体の飛行を中止」との勧告を行っている。

一方、アメリカの航空事業を所管する連邦航空局(FAA)は、「飛行停止に至るまでの十分な証拠がない」として、具体的な措置を行っていない。その結果、アメリカの航空会社各社(アメリカン航空、サウスウエスト航空、ユナイテッド航空)が保有する機体については引き続き通常どおり運航しており、早々に運休を勧告した中国当局の動きとは方向性を異にする。

こうした動きについて、ロンドンを拠点にして民間航空事業に関するコンサルタント業を営むジョン・ストリックランド氏は「機体生産国の機関が運航に対する規制をかけていないのに、第三国である中国が飛行禁止を打ち出すのは非常に不自然」と指摘。「はたして政治的な意図があるのかどうか理解できない」とCAACの勧告に首をかしげる。

そんな中、英国民間航空局(CAA)は12日夕方(現地時間)、「737MAX8が起こした2つの墜落事故に類似性があり、かつ安全に対する確たる証拠が得られないため、予防的な措置として、MAX8とMAX9のイギリス内空港での離着陸および上空通過を当面禁止する」との声明を出した。

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