BMW「7代目3シリーズ」乗ってわかった実力 過去に発売された3シリーズと何が違うのか

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3シリーズにとって走りの楽しさは生命線であり、この部分で妥協したくなかったというメッセージは理解できる。確かに先代との幅の差は25mmだし、他車も拡大しているので、試乗中に大きいと感じることはなかった。ただし自宅前の道や車庫の幅は拡大していないこともまた事実であり、この数字を理由に選択から外す人は当然出てくるだろう。

日本と他国で認識の異なる点とは?

一方で新型は、わが国に配慮した部分もいくつかある。長年親しまれてきた320iというグレードを日本市場だけに用意したこと、キドニーグリル内に停車時などに自動的に閉まるシャッターを付けたこと、ライブコクピットと呼ばれるデジタルメーターを全車標準装備としたことなどだ。

シャッターを追加したキドニーグリル(筆者撮影)

320iを残したのは高性能でなくてもいいから手の届きやすい3シリーズが欲しいという要求、残り2つは3シリーズをスポーツセダンではなくプレミアムセダンと考える人が多い市場環境に対応したものだという。日本のユーザーの3シリーズ感が他国と違うことを教えられた。

グリルシャッター装備の理由は、停車中にグリルの中が見えるのを好ましく思わない声に対処したためだそうだ。たしかにSUVのX3やX4では、グリルの奥にシルバーの構造材が見えており、なぜこうした部分までデザインしなかったのか不思議だったが、BMWがシャッターという手法で対処したのは、他国ではさほど問題になっていないからかもしれない。

デジタルメーターパネル(筆者撮影)

デジタルメーターはタコメーターを逆回転にすることで中央に広いスペースを確保し、ナビなどをここに大きく映し出す。個人的に好感を抱いたのは、デジタルの自在性を生かしてメーターをありふれた円形にしなかったことだ。パネル全体で六角形を描いており、同じモチーフをエアコンのルーバーやドアハンドルなどに反映させ、空間としての統一感を出した技は評価したい。

メーターやルーバーに共通のモチーフを取り入れたインパネ(筆者撮影)

ただしBMWインテリジェントパーソナルアシスタントと呼ばれる音声入力システムは、先に同様のシステムを搭載したメルセデス・ベンツAクラス同様、筆者が1年間使い続けているアマゾン・エコーには及ばないという印象だった。

もっともAI機器は1年後には別物のように進化するので、状況を見守りたいという気持ちはある。またわが国における3シリーズの本命はこのあと登場する320iになるはずだとも思う。新型3シリーズはこれまでよりも長い目で評価したほうがいいのかもしれないという感想を抱いた。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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