「サバ缶」大ブームでも水産会社が喜べない事情

「代用品」としてイワシ缶が赤丸急浮上中

だが、メーカーが「もろ手を挙げて万歳」なのかというと、そうではない。需要の急増に伴い、原料が不足し、原料価格も高騰しているためだ。水産3位の極洋では、需要は増えているものの原料不足で生産が追いつかないため、2018年4~12月のサバ缶の売上高は前年同期比で9%減少した。

サバ缶の原料としてはノルウェーやオランダなどの海外産も一部あるが、コストや品質面の理由からほとんどは国産のサバ(マサバ、ゴマサバ)が使用されている。その国産サバの浜値(水揚げ地での取引価格)の高騰が半端ではないのだ。

一般社団法人の漁業情報サービスセンターによると、昨年夏から11月前半にかけ、主要漁場の三陸沖や北海道東部沖におけるサバの水揚げは水温などが影響して落ち込んだ。水揚げが減る中、缶詰向けやアフリカ、東南アジアなどへの輸出向けに需要が増大。その結果、2018年前半には1kg当たり70~80円だったサバの浜値は10月から12月にかけて120~130円台へ急上昇した。

代用品としてイワシ缶を増産

11月後半以降、水揚げは常磐沖から九州を含めて回復に転じたものの、浜値は今年1月も110円台と高値が続き、2月には再び水揚げが減ったため130円台に戻ってしまった。これから夏にかけては産卵期で漁獲は大きく減る。需要が根強いとなれば浜値の下落は考えづらく、「よくても高値横ばいが続くのではないか」(同センター)とみられる。

原料高に直面した水産大手は製品価格の値上げに踏み切っている。マルハニチロはサバ缶(全32品)について、昨年9月に平均約10%値上げしたのに続き、今年3月1日から約7%の再値上げを実施。他社も追随する動きにある。「採算を考えると値上げはやむをえない。だが、半年で2度の値上げとなれば、消費者の需要にも影響が出るおそれがある」(マルハニチロ)。メーカーからは不安な声も聞かれる。工場は現状ほぼフル生産だが、先行きの需要ピークアウト懸念から一段の増産投資にも慎重にならざるをえない状況だ。

こうした中、サバ缶の“代用品”として業界が拡販に注力するのがイワシ缶だ。イワシはサバと同じく代表的な青魚であり、イワシ缶にもサバ缶と同様、EPAやDHA、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれる。やはりテレビの情報番組の効果もあって、2018年の市場規模は73億円と前年比75%も急増し、サンマ缶を上回った(インテージ調べ)。まだサバ缶の3分の1にも満たないが、“赤丸急上昇中”と言っていい。東洋経済の取材によると、マルハニチロでは2018年4~12月にイワシ缶の売り上げが前年同期比3倍以上の伸びを示し、極洋も同95%増となっている。

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