日韓はなぜ良好な関係を継続できないのか 韓国・文大統領「親日清算」発言の本当の意味

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2018年には韓国から約750万人が来日した。この中には観光目的の韓国人も多いだろう。そうした人たちに韓国政府が「親日は清算する」と言って圧力を加えるということは、冷静に考えればありえないことである。言葉の意味を誤解し、感情的に反発することだけは避けなければなるまい。

「親日」をめぐる韓国内の論争は文大統領が初めてではない。太平洋戦争終結後、韓国はアメリカの支配を経て1948年に独立した。李承晩、朴正煕、全斗煥大統領らの独裁国家、軍事国家が続き、民主化が実現したのは1987年だった。

この間、植民地支配時代に日本に協力した人たちが、日本の敗戦後も韓国政府の主要ポストを握り続けてきた。逆に植民地支配時代に独立運動に取り組んだ人たちは、韓国独立後、民主化運動に力を入れたことで弾圧の対象になったとされている。

「親日」めぐり韓国内で激しい論争

文大統領が言う「親日派反省すべき、独立運動は礼遇を受けるべき」と述べているのは、こうした韓国の歴史を踏まえての発言である。

この「親日」をめぐる韓国内の論争は激しい政治的対立に発展している。韓国の民主化は市民運動によって実現しており、それを担った人たちが政治的には「進歩派」と呼ばれるグループを形成し、金大中氏や盧武鉉氏という大統領を生み出した。特に2003年に就任した盧大統領が「親日清算」に積極的に取り組んだ。「日帝強占下の親日反民族行為真相究明特別法」を制定し、「親日派」人物の調査を開始した。調査対象は日韓併合条約を推進した官僚や将校、独立運動を取り締まった警察官や司法関係者、さらにはマスコミ関係者らも含まれた。

韓国の「親日清算」の動きは徹底している。2005年には植民地化や植民地統治に協力した人たちの子孫の所有する土地や財産を没収するための「親日反民族行為者財産の国家帰属特別法」までも制定した。その結果、盧政権時代に約170人が没収対象の「親日」とされ、子孫の所有する土地などが政府に没収された。

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