崖っぷち、新井組だけではない苦境の関西ゼネコン界

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大手ゼネコンでさえ関西は利益なき繁忙

公共事業削減の影響は全国どこでも同じ。だが、これまでのマンションブームもあり関東圏では民間建築が建設需要を下支えしてきたのに対し、関西圏では下降線をたどってきた。それゆえ受注競争はますます激化しており、スーパーゼネコンでさえ「利益なき繁忙」(ゼネコン関係者)といわれる。手間がかかるマンション工事は採算が低く、支払い条件もよくないが、それでも中堅ゼネコンは新興デベロッパー案件のマンション建設を増やすことで売り上げを確保してきた。一方の新興デベロッパー側も「関西では顧客に名前の通っている中堅ゼネコンに発注したがった」(関係者)という。

新興デベロッパーの影響が比較的少ない中堅ゼネコンもある。奥村組(大阪市)はマンション比率を10%にまで縮小(直近の受注ベース)し、同時に選別受注を強化し利益確保を図っている。錢高組(大阪市)も工場の大型案件などが業績を押し上げる見通し。ただ、両社ともに設備投資抑制のあおりで工事の先延ばしといった懸念はある。

 「淺沼組は大丈夫か」--。冒頭のゼネコン首脳は、最近になり業界関係者からそう聞かれることが少なくないと明かす。1892年創業の淺沼組(大阪市)は採算管理を一層強化しており、新興デベロッパーの債権がない。だが、足元の懸念材料は神奈川県藤沢市で建築中のマンション。使用していた生コンクリートで資材業者の不正製造が発覚し、工事の一部を中断している。08年度に計上を予定していた工事高は約77億円だが、遅延は避けられそうにない。「(計上がいつになるかは)判断しかねる状況」(淺沼組)

今後も建設需要の低迷は続く。新井組に続く企業が出るようだと、関西経済の景況感をさらに悪化させるだろう。ゼネコンにとって厳しい年度末を迎えつつある。

(梅咲恵司 =週刊東洋経済)

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