「日経平均は上がらない」と言う人が見落とす点 いよいよ「2万2000円台への挑戦」が現実に

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早咲きの河津桜は満開。日本株も、咲いてもいいかもしれない(写真:まちゃー/PIXTA)

相場の世界には「節分天井、彼岸底」という格言がある。だがこの格言は今年もハズレそうだ。

出来高で今の相場を見てはいけない

先週18日(月)の日経平均株価は381円高で、一気に中期波動の代表的指標である75日移動平均(この時点で2万1153円)を抜けた。だが東証1部の売買代金を見ると2兆0425億円と、閑散相場並みの水準だった。そのため、価格帯のしこり感が強い2万1500円から2万2000円の関門を「容易には抜けないだろう」と見る投資家がまだ多い。

果たして、本当にそうだろうか。現時点の相場は(ニューマネーがまだ入って来ない)先物の買い戻し主導の相場であることを忘れてはならない。筆者は出来高だけに神経質になると相場を見誤ると考える。外国人投資家の先物の売買を見ると、今年に入ってから直近の発表まで7週連続で全週買い越しになっている。これは昨年10月~12月に、米中貿易摩擦による「世界経済の急減速」を売った4兆8000億円の買い戻しと見られる。そのため7週連続でも、総額はまだ約1兆円に過ぎない。引き続き先物主導の展開が予想される。

さらに、現物の需給を良くしているのが企業の自己株買いだ。2月の自己株買い発表額は約1兆3000億円と、昨年2月比で倍増している。また、まだ1カ月余を残す2018年度の自己株買い発表額も6兆円を越し、2017年度の4兆5000億円を大きく上回る。この額はたとえてみれば日銀の年間ETF買いの額をも上回ろうというもので、株式市場を支えるだけではなく、企業からの「日本の株は安い」と言うメッセージにもなっている。

一方、アメリカは115カ月の長期景気拡大期にあるが、それだけにいつ後退期に入っておかしくないタイミングでもある。実際、2月21日(木)に出た指標は悪いものだった。2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は前月比で市場予想を大きく下回るマイナス4.1と、1月の17.0から大きく落ち込んで、2016年5月以来初めてマイナス圏に入った。

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