「日経平均は上がらない」と言う人が見落とす点 いよいよ「2万2000円台への挑戦」が現実に
また、12月の耐久財受注額も予想ほど増えず、2月の製造業PMIも1ポイント低下した。同日に出ていた2月のユーロ圏製造業PMIに至っては、49.2と2013年6月以来の、好不況の境の50を下回るという「事件」が起きていたが、この日のNYダウは103ドル安に過ぎなかった。
景気後退に怯えるアメリカとしては、大幅なショック安があってもおかしくない状況だったが、そうならないばかりか、翌22日にダウは181.18ドル高の2万6031ドルと、昨年11月8日以来約3カ月半ぶりに2万6000ドルの大台を回復した。これは何を意味するのか?
日本も今、戦後最長と言われる74カ月(まだ確定ではないが)の景気回復(拡大期)過程にあるが、欧州や中国の減速感から、早晩日本も失速(景気後退期)するのではないかと危ぶむ投資家も少なくない。しかし、昨年のクリスマス前後の急落が、日米欧(そして中国も)の景気後退を織り込んだものだとしたら、その後の株価の戻りはさらにその先の、「再度の景気拡大」を読んでいるのではないか。だとしたら、この「景気後退期」は極めて短い期間になる可能性もある。
株価は「政策総動員」で上昇する
それを決める重要なキーワードは「政策総動員」だ。FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長はハト派政策に変節して利上げをストップし、資産縮小化策を年内で止める方向にある。また欧州でもECB(欧州中央銀行)が国債買い入れのテーパリング(量的緩和の縮小)を棚上げにした。また、中国もバブルの規制(ブレーキ)と対米圧力に対する内需喚起策(アクセル)の同時進行で、資金調達が再加速し始めた。日本はずっと異次元緩和状態だ。
さらにいえば、世界の景気減速懸念が強まる中でも、景気に敏感なLME(ロンドン金属取引所)の銅先物が堅調だ。こちらも先読みしているのだろうか。早めの政策でどこまで押し返すことが出来るかは分からないが、拡大期が終わる→後退期に入る→また拡大期が始まる、という景気循環の形は、これからは着地してもすぐに離陸する「タッチアンドゴー」に似ていると思っている。
こうしたことから考えて、今週の日経平均株価は2万1500円を塗り固めてから、いよいよ2万2000円挑戦となるだろう。カギを握る日本の指標は1月鉱工業生産指数速報値、10~12月期法人企業統計調査であり、中国では、2月中国製造業・非製造業PMIだ。またアメリカでは、10~12月期実質GDP(市場予想は+2.5%とやや減速する見通し)、2月のISM製造業景況感指数だ。もちろん、パウエルFRB議長の上下両院での証言や米中協議の行方からも目が離せない。かなり濃い1週間になりそうだ。
さて2日間に渡ったその注目の米中閣僚級協議だが、結果についての評価は、時差の関係で、世界で最初に開く25日の日本市場で下されることになる。緊張のスタートが予想されていたが、協議期間は2日間延長されたが、協議が深夜まで及んだ場合は、月曜日寄り付きでも結果が分からないことになる。協議延長は、一部で報道されたように「覚書きを作るための前向きの時間」なのか、それとも「対立して収拾が付かなくなった後向きのもの」なのか、不透明感が高まる月曜日の日本市場となりそうだ。しかし、日経平均は先週の5日間すべての日足が陽線だった「5陽連」という強気のシグナルも出ている。期待の膨らむ1週間でもある。
今週の日経平均の予想レンジは2万1100円~2万1900円とする。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら