老舗鉄道雑誌「ネットで過去号読み放題」の狙い 「鉄道ファン図書館」毎月1年分、5年かけ公開

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月刊『鉄道ファン』のバックナンバーを公開するWebサービス「鉄道ファン図書館」(画像:鉄道ファン図書館)

鉄道好きであれば誰もが手にしたことがあるであろう各種の鉄道雑誌。その中でも人気が高い老舗の月刊『鉄道ファン』が昨年9月1日、バックナンバー公開サービス「鉄道ファン図書館」をネット上に開設した。

月刊『鉄道ファン』の創刊は1961(昭和36)年7月号だ。創刊号の表紙は当時デビュー直前だった日本初の前面展望車、名古屋鉄道の「パノラマカー」で、スカーレット色の鮮やかな車体が青空に映える構図の表紙とともにセンセーショナルな創刊号だったという。それ以来、今年2月発刊の4月号までで696巻を発刊し続けており、1970年代のSLブームやブルートレインブームなどを牽引した代表的な月刊誌でもある。

今回、このタイミングでなぜこのようなサービスを始めたのか、発刊元であり開設者である株式会社交友社の山田修平社長にその意図を聞いた。

貴重な「趣味の原点」

山田社長は、初対面の人に「何年何月号からの読者です」とあいさつされることが多いという。しかも、どの人もその号の表紙を鮮明に記憶していて、嬉しそうに語るのだという。趣味の出発点が月刊『鉄道ファン』だった鉄道趣味者が多いことを、如実に語る逸話といってよいであろう。

「鉄道ファン図書館」では、過去の記事を実際の雑誌と同様に見開きで読み進められる(画像:鉄道ファン図書館)

趣味の原点であり、ボロボロになるまで読んだ『鉄道ファン』誌は、各自の青春の思い出であるとともに、その時代の鉄道を知るための貴重な伝道者でもある。それだけに、人気の号は古書店やネットオークションなどで高値で取り引きされている。

一方で、日本の狭い住宅事情からバックナンバーを泣く泣く手放したとか、家族から早く手放せと迫られているといった話も枚挙にいとまがない。

次ページ「ネットでの公開」躊躇していたが…
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