IXI事件で暴発 「粉飾の臨界事故」

揺らぐ業界全体の信認 いまだ乏しい危機感

 このほかにも取引先では売上高の減額が続いている。いずれもIXIとの売買を実態がないものとみなした結果、関連取引を除外したためだ。菱洋エレクトロは07年1月期の業績予想を大幅に下方修正、デジタルデザインに至っては07年1月期の売上高が第3四半期より少ないたったの3億円にしぼんでしまった。 問題なのは、取引先によって対応がバラバラな点だ。ミロク情報サービスのように決算訂正など特別な対応を考えていない企業のほうが実は多数派。菱洋エレクトロにしても06年1月期以前については対応しない方針だ。荷動きを裏付けるデータが保存されていないため“ニセの売り上げ”を特定できないからだ。こんなことでは、投資家はどの数字を信じていいかわからない。

 「架空循環取引」は、多数の企業が介在しなければ成立しない。不心得な企業が1社あれば、「粉飾の連鎖反応」は取引先全体に及ぶ。介在した企業に悪意がなくとも、実態のない売買で結果的に売り上げが水増しされる事実こそが問題なのだ。

 業界が重く受け止める必要があるのは、同種の事件が2度目だということである。04年摘発のメディア・リンクス事件では約30社が架空の売り上げ作りに結果として加担していた。が、この時、過去の決算を減額訂正したのは、逮捕者を出した伊藤忠テクノサイエンス(当時)ぐらい。多くの企業が「正常な取引」と強弁して、他人事で済ました。

 IXI事件では「架空循環取引」の橋渡し役がいた。ネットワンシステムズで昨年3月まで部長を務めていた人物だ。皮肉なことに、その部長はメディア社事件を機に「スルー取引」をひそかに収束させるため任命されていた。ところが、私腹を肥やすため、逆に不正取引を拡大させた。業界の規律は緩みきっている。

 事件を機に、財団法人インターネット協会は再発防止策の検討を始めたところだ。が、いまだ関係企業の危機感は薄い。このままでは、早晩同じことが繰り返されるだろう。

(書き手:高橋篤史)

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