鳥貴族「メガハイボール」投入で客単価減の誤算 既存店売上高は13カ月連続の前年割れに

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出店ペースが速すぎて顧客の獲得が追いつかなかった反省から、今2019年7月期(2018年8月~2019年7月)は新規出店を41店と、104店を出店した前期の半数以下に抑制。前期までに出店の計画が決まっていた案件に絞っている。満席状態の店舗では、スタッフが近隣店舗の空き状況を調べ、顧客にそこまでのルートを案内する連携策も取り入れている。

メニュー改定を年2回から3回に

これまで春と秋の年2回だったグランドメニューの改定も、今期から10月、3月、夏前の年3回に増やす。オペレーション負担の増加を避けるためメニュー数は維持しながら、季節感を意識した商品を充実させる。「とり釜飯」のようなヒット商品を出すために、メニュー開発も強化する。

鳥貴族の大倉忠司社長は2018年10月の東洋経済のインタビューで、「値下げは絶対にしない」と強調した(撮影:吉濱篤志)

また、これまでの「国産国消」というキャッチコピーは認知度が低かったため、2018年10月のメニュー改定と同時に、メニューブックの表紙に「鶏肉も!野菜も!食材は全て国産100%」と打ち出した。SNSでも積極的にアピールする。

さらに、顧客にとって満足度が高いメガハイボールを店頭で積極的に販促し、客数の回復につなげる構えだ。

「以前は平日でも満席状態だったことが頻繁にあったが、今はすぐに入れることが増えた」と、学生時代から鳥貴族を利用する20代女性は現在の状態を歓迎する。現在は急拡大、急成長期に招いた混乱から、落ち着きを取り戻そうとしている段階なのだろう。中長期的な視野で動向を見ていく必要がありそうだ。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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