アメリカの高校がeスポーツに期待する背景

「居場所がない」生徒の生活変えるきっかけに

昨年11月、短期間で数回の資金調達に成功し、パーネルは消費者向けのインターネットビジネスの世界において、アフリカ系アメリカ人として異例の3005万ドル(約33億円)という大資本企業の経営者となった。(事業投資のデータベース、クランチベースによると、現在事業が運営されているアフリカ系アメリカ人がCEOの不動産関連企業「コンパス(Compass)」と「カドレ(Cadre)」の資本額はそれぞれ2500万ドルと1830万ドル。)

引きこもりがちな学生に社会性を学ぶ機会を与える

eスポーツの高校への導入について、方々から聞こえるのは「期待」の声ばかりだ。eスポーツは、これまでスポーツと縁のなかった学生が、部活動に参加することができること。また、伝統的なスポーツに比べて、道具や施設などの面でも費用が掛かりにくいというのがその理由だ。

eスポーツを導入したマンチェスター高校の教員で、生物学を教える同校のeスポーツ部の顧問を務めるサム・ワーナーは、コネチカット州のローカル紙、ハートランド・コーラント紙の取材に対して、「まさか自分が競技スポーツの顧問を務めることになるとは夢にも思っていなかった」と語っている。

実際、彼の部に所属する学生たちは、新入生として入学した当時、引っ込み思案で、物静かで、授業でも自信なさげに座っている学生だったという。そんな学生たちが、現在同校のeスポーツ部で活躍し、州大会の決勝戦の舞台に立とうとしているのだという。

eスポーツが通常の娯楽テレビゲームと大きく異なる点は、ルールがあり審判がいるという点だ。そしてeスポーツでは、プレイヤーが協力してミッションを達成し、勝つことを目的とする。

また、プレイ・バーサスによると、現在200校の大学がeスポーツに関する奨学金を提供しており、このプラットフォームでの活躍が、将来大学進学時の推薦や奨学金に繋がるというのだ。

マサチューセッツ州の高校では、これまでリーダーシップから程遠かったゲーマーの学生がeスポーツ部のリーダーになったことを通じて、戦略を考えること、チームワーク、リーダーシップを学び自信を得た、というケースが実際に起きているという。この学生は授業へも積極的に参加するようになり成績も向上している。

またプレイ・バーサスの高校向けeスポーツのプラットフォームでは、バスケットやアメフトの全国大会で優勝を目指すような学校の要求水準を想定し、プラットフォームそのもののインフラを開幕当初からかなりしっかりと準備したという。「アメフトで全国レベルの試合を考えた場合、1位を目指すチームは、コーチ、アシスタントコーチに加えて、データー収集をし、それを解析する専門家を用意する。(プレイ・バーサスのプラットフォーム上でも)かなりしっかりとしたインフラを準備した」とパーネルは語っている。

今回プレイ・バーサスが提供したプラットフォームが、全米の多数の高校生の人生を変えたとしたら、多くの国で同様の仕組みを導入する事例が増えるに違いない。「学校に居場所がない」と思っている子どもたちに、自信を与え、光り輝く舞台を提供できる場所になるかもしれないからだ。

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