乙武洋匡が見た「被害者と加害者」虐殺後の和解 多くの葛藤を経ながらも許し、許された関係

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――そこから許しを得るまでに、ずいぶんと時間がかかってしまった。

微笑みを絶やさないアンドレさん。彼を虐殺に走らせたものとは何だったのか

アンドレ:やはり自分がしてしまったことと向き合おうとすると、どうしても「仕方がなかった」「指示に従わなければ自分がひどい目に遭わされていた」という気持ちが消えなかったんです。でも、カズのもとでワークショップやカウンセリングを受けるうちに、そんなことは彼女には関係ない、私が彼女に何をしてしまったのか、そこだけを考えるべきだと思えるようになったんです。

サラビアナ:じつは、私の家を建ててくれたメンバーの中でも、まだ謝罪することができていない人もいるんです。まずはタデヨさんが勇気を持って謝罪をしてくれました。そんな彼の姿勢を見習って私のもとを訪れてくれれば、私としては許したいと思っているんですが。

タデヨ:彼らには私からも謝罪したほうがいいと促してはいるんです。でも、彼らは「どんなふうに謝ったらいいのかわからない」と。自分の罪の大きさを自覚しているからこそ、どんな謝罪なら許してもらえるのかと悩んでいる。だから、「私もそうだった」と。まずは私と一緒に彼女のもとを訪れ、対話を始めようと伝えてはいるんです。でも、彼らにはまだ心の準備が必要なんですね。

今では過去のわだかまりなく生活し、養豚組合での共同作業に励んでいるという3人。ルワンダの“未来”については、どんな思いを抱いているのだろうか。

未来に向けてルワンダがすべきこと

――ルワンダでは24年前にジェノサイドが起こり、日本でも70年以上前に大きな戦争がありました。どちらも決して繰り返してはならない歴史です。そのために必要なのは、どんなことでしょうか?

サラビアナさんとタデヨさん。今では親友のような関係だという

タデヨ:やっぱり次世代に対する正しい教育ですね。24年前のジェノサイドは、間違った教育、間違った情報によって起こってしまった。だから、次の世代には必ず正しい教育をしていかなければならないだろうと思っています。

アンドレ:フツ族だとかツチ族だとか、もう分けて考えないこと。私たちは同じルワンダ人なのだと意識を持つことです。実際に若い世代の人たちは、もうフツだとかツチだとか、ほとんど意識していないですよ。

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