王者・花王が挑む衣料洗剤「頂上決戦」の行方 「史上最高の洗浄力」をうたう新製品を投入

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さらに、澤田社長は「バイオIOSは理解してくれるところがあれば一緒に組みたい。バイオIOSをグローバルで展開する基剤にしていきたい」と、外部への技術提供の可能性も示唆する。

花王は目下、新技術の開発を軸にした成長戦略を標榜している。昨年11月には、今後の製品化を見込む人工皮膚技術など5つの技術を公表。今回発売するバイオアタックゼロは、そのうちの1つの技術を用いた製品化の第1弾となる。

アタックゼロは衣料用洗剤では世界初のサステイナブル(持続可能)な原材料を用いている。衣料用洗剤の原材料はアブラヤシの実の液体部分が用いられることが多い。

花王が目をつけた「残りカス」

ところが、アブラヤシの実は環境破壊などの問題から増産が困難になっている。さらに、液体部分は食用油として使用されることも多いため、日用品メーカーだけでなく食品メーカーの間でも世界的に争奪戦が起きている状態だ。

「アタック ZERO」の従来型ボトルとドラム洗濯機専用ボトル。ワンハンドプッシュで、高齢者や手が不自由な人でも使いやすい(記者撮影)

そこで、花王はアブラヤシの実から液体を採取する際の「残りカス」に目をつけた。そうして開発されたのがバイオIOSだ。バイオIOSは洗浄力を従来品に比べ一段と高めた。

最近では、ヒートテックなどポリエステルに代表される化学繊維系素材の衣類が増えている。さらに、家庭では節水型のドラム式洗濯機が増えるなか、ぎゅうぎゅうに衣類を洗濯機に詰め込むことが多く、洗濯を繰り返すほど汚れがたまりやすくなっている状況だ。

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