「自動車リース」に石油元売りが参入するわけ

自動車整備工場から保険代理店まで続々参入

一方、リース専門会社の間隙を縫うように、積極的に個人向けオートリースに力を入れてきたのが信販会社だ。信販トップのオリエントコーポレーションは大手リースの東京センチュリーと5割ずつ出資して2008年にオリコオートリースを設立。自動車ローン首位のオリコの代理店網、営業力と東京センチュリーのリースのノウハウという双方の強みを持ち寄った。新たな市場を開発すべく、オリエントコーポレーション本体から営業陣容の1割にあたる約100人をオートリース専任担当者に割り当てた。

オリコオートリースに設立準備段階から参画したオリエントコーポレーションの小斎博樹・自動車統括部長は「最初の3~4年は非常に苦労した」と振り返る。だが、2016年に潮目が変わる。「新車の軽自動車をボーナス併用払いにして、自動車税や車検代などの車の維持費を含めて、月々1万円で新車に乗れるという商品設計がマーケットに受け入れられた」(小斎部長)。自動車の性能向上で平均使用年数が延びており、5年が中心だったリース期間で7年の契約が浸透してきたことも、1万円というリース料設定に追い風となった。

市場シェアではオリックス、次いでオリコが優位とみられているが、ジャックスなど従来から個人向けにオートリースを取り扱ってきた信販会社も一段とリースに力を注ぐようになってきた。新生銀行グループのアプラスは2017年、グループの昭和リースと組んで個人向けオートリースを開始。2018年には新興のプレミアグループが新規参入した。リース台数が伸びているのも、このようにオリックス同様、陰でリース提供先を支える業者も増えていることが背景にある。

参入の動機は収益源の多様化

市場の先導役となったコスモエネルギーホールディングスによると、参入にあたっては、顧客接点を活用した顧客の囲い込みを戦略とし、特約店も含めて、燃料油のみに依存しない収益源を確保することを狙いとしている。

販売店や整備工場、カー用品店チェーンなども、参入目的は同じく収益源の多角化だ。例えば中古車販売店では「良質な中古車が輸出に回ってしまうこともあり、玉(在庫)の確保が難しい」(日本中古自動車販売商工組合連合会)といった事情もある。車検やメンテナンスを料金に組み込み、また期間の満了もあるリースは顧客との接点が多く、顧客の「囲い込み」にはうってつけの商品だ。

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リースといえば、車が足代わりとなる地方でニーズが多いと思いがちだ。だが、「都市部も含めて全国満遍なく取り扱いが増えている」(オリックス自動車の髙城執行役員)。さらに、一家の2台目、3台目となる軽自動車をリースで、という見方も古いようだ。子どもができて軽自動車から普通車に乗り換えたり、それとは逆に子育てが終わった家庭で、ミニバンから少し小さめの普通車に乗り換えたりといったケースが多いという。髙城氏は「月額でほぼ同じくらいのおカネを払うなら、中古でローンを組むよりも、燃費もよくメーカー保証もある新車にリースで乗りたいといったニーズが増えている」と語る。

年間500万台の自動車の販売市場と比較すれば、伸びてきたといってもリースの台数はまだごくわずか。数字のうえでは、「利用から所有」といった流れはとば口に立ったにすぎない。しかし、収益確保を狙う事業者の積極姿勢と消費者の意識変化が刺激し合うことで、個人向けオートリース市場が飛躍を遂げる可能性はある。

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