音楽家に学ぶ、プレゼンで生きる緊張対策術 アガリ症の問題にも役立つ方法を伝授

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中学に入って吹奏楽部に入部したわたしが担当することになった楽器がホルンだった。

ホルンという楽器の魅力に中学2年生になる頃にはすっかり取り憑かれた。この楽器を完璧に格好よく演奏したいと強く願うようになった。そうすることで、女子にモテたいとも思っていた(笑)。よくいる男子中学生である。

念願叶って、初めて自分の演奏が目立つある大きな舞台の演奏のチャンスを得た。このときのわたしの妄想では、CDで聴いている偉大な演奏家のお手本と同じように完璧に演奏し、そして会場中がわたしに注目するはずだった。

ピアノの演奏でよく知っていたドキドキや震えは、いつもどおりやってきた。しかし、それまでとちがってわたしは、「これだと上手に演奏できない!」と焦り始めた。どうすればよいのかわからないまま舞台にあがったが、うまく音が出せず、ボロボロになってしまった。

この日から、わたしの「人前で演奏するときの緊張」との長く苦しい闘いが始まった。何度も何度も、音大生になってからもプロになってからも、緊張に呑まれて酷い演奏をしてしまうことがあった。

一方で、初めてピアノの発表会で演奏したときに経験した、「闇から光へと踏み出し生まれ変わる」ような体験も、やはりホルンの演奏でも何度もした。

失敗体験と成功体験の両方が、緊張とアガリに対する打開策を考えさせた。

緊張とアガリの乗り越え方を紹介

以下では自身の経験に基づく緊張とアガリ症の乗り越え方を紹介する。この方法は、筆者のところにレッスンにやってくる多くの生徒さんの同様の問題に役立っている方法でもある。

世にあるさまざまな有益な方法の中の1つとして、ぜひ参考にしてほしい。

もしこの先、人前に立つ機会があるのなら、その日に備えてやってみていただきたいことがある。それは、

① 人前に立って行うコミュニケーションの中身を意識化する
② 人前に立つことに伴うさまざまな肉体感覚の変化に対応する

ことだ。この2つを組み合わせて臨んでみてほしい。

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