日産ノートが「2018年1位」でも喜べない事情 商品力は高いが他に買いたい日産車も少ない

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ただ、冷静に考えると日産にとって手放しで喜べる状況でもない。自販連の2018年(暦年)の乗用車ブランド通称名別新車販売ランキングを見ると、トップ10に入った日産車はノートとミニバン「セレナ」の2車種のみ。ほかはトヨタが7車種、ホンダが1車種。ホンダよりはヒット車種を出しているものの、トヨタには大きく水をあけられている。

かつてはプリウスやアクアがトヨタのハイブリッド車の代名詞だったが、今や「C-HR」をはじめとするSUV(スポーツ多目的車)や「ノア」「ヴォクシー」などのミニバン、「カローラ」「ヴィッツ」などの定番車種にもハイブリッド仕様が設定されている。

ノートに需要が集中せざるをえない事情

対して日産には手頃なサイズのエコカーが少ない。車種のモデルサイクルが軒並み長期化しているからだ。コンパクトカーでいえば現行「マーチ」は2010年デビュー、「キューブ」は2008年デビューと、基本メカニズムが古すぎるし、目新しさも薄れてしまっている。

同じく廃版になった「ウイングロード」や「ブルーバードシルフィ」などのオーナーも日産車の中で乗り換える選択肢が少ない。日産ユーザーが手頃なサイズの新車を買おうと思ったら、ノートぐらいしかほどよい選択肢がない。つまり、ノートに需要が集中せざるをえないという事情もノートがよく売れている背景にある。

現行ノートにはデビュー時から、「メダリストシリーズ」と呼ばれるグレードが設定されている。標準のノートよりも上級イメージを持たせた仕様ながら、これは廃版になった「ティーダ」ユーザーをノートへと振り向けさせるために設定されたと、自動車販売業界では言われている。

ティーダは2004年に初代がデビュー。海外市場では今でも3代目がラインナップされているが、日本国内では2012年に3ナンバーサイズの2代目デビューとともにラインナップから外れた。ティーダは5ドアハッチバックと「ティーダ・ラティオ」と呼ばれる4ドアセダンが日本国内ではラインナップされ、日産のヒット車種だった。

ティーダユーザーにしてみると、乗り換えの受け皿となる同クラスのモデルがほとんど見当たらないことから、現行ノートにメダリストシリーズがラインナップされたという流れに見える。

2012年に登場した現行ノートが、ここへ来て登録車販売の年間王者の座を獲得したことは、確かに快挙だ。ただ、日産の国内販売という視点で見ると、それはアンバランスな状態でもある。

小林 敦志 フリー編集記者

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こばやし あつし / Atsushi Kobayashi

某メーカー系ディーラーのセールスマンを経て、新車購入情報誌の編集部に入る。その後同誌の編集長を経て、現在はフリー編集者。

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