日産ノートが「2018年1位」でも喜べない事情

商品力は高いが他に買いたい日産車も少ない

プリウスと同じくハイブリッド専用車のアクアは2018年4月に一部改良を施し、特別仕様車も新たに設定された。現行ノートよりもさらに古い2011年末のデビューながら、トヨタはアクアをカローラ店、ネッツ店、トヨタ店、トヨペット店といったレクサス店を除くトヨタ国内4系列すべての併売車種として、5000店ともいわれるネットワークを駆使して拡販した。国内販売店が2000拠点程度とされる日産・ノートが、アクアに逆転される可能性もあっただろうが、その猛追をかわした格好だ。

現行ノートは2012年7月にデビュー。2016年11月には、新開発のパワーユニット「e-POWER」を導入した。ノートe-POWERはノートのベースモデルと同じ1.2L直列3気筒エンジンに、電気モーターを組み合わせている。ただしエンジンは走行には使用せず、発電機を回すことに徹しており、前席下に収めたリチウムイオンバッテリーに貯蔵し、この電力で走る。後席や荷室まわりはガソリン車のノートと共通なので、広さや使いやすさはそのままだ。

日本ではエンジンを発電のみに使用するこの方式を、「シリーズ式ハイブリッド」と呼ぶことが多い。ハイブリッドとは、2つの動力源を持つ車を指し、その一種であるが、エンジン、モーターを状況に応じて駆動力に使う「パラレル式ハイブリッド」とは異なる。ちなみにプリウスやアクアなどのトヨタ車のほか、ホンダ「フィット」などのハイブリッドがパラレル式を採用している。

クルマ好きの年配層からも注目

ここ最近立て続けに、筆者の周りにいる70~80代の人から「ノートe-POWER」について相次いで聞かれる機会があった。「2018年上半期登録車販売ナンバー1」というキャッチと、「充電いらずの電気自動車」といったキャッチフレーズによる車種紹介が、クルマ好きの年配層に注目されたようだ。

この世代のなかには新車に乗り換えるときに、「俺にとって人生最後の新車購入になる」などと冗談交じりに話す人がいる。半分本音的な部分もあると考えると、クルマに興味のある人なら、「それなら最新トレンドのクルマに乗っておきたい」という気持ちもあるようだ。

ノートだけでなく程度の差こそあれ多くの人気車といわれるクルマは、「レンタカーやカーシェアリングなどのフリート(法人向け)販売や、ディーラーなどが自社名義で登録したうえで一定期間を置いて中古車市場に流す、『登録済み未使用車』が目立つ」という自動車販売業界関係者の声がある。筆者が定点観測している中古車店でも、2018年はアクアの登録済み未使用車よりも、ノートのそれのほうをよく見かけたし、レンタカーやカーシェアリングステーションでも、アクアよりもノートが目立っていた印象もあった。

とはいえ、自社登録やフリート販売強化はあくまでも“上積み”でしかない。ちゃんとクルマとしての一般ユーザーの実需がなければ登録車年間トップはとても取れない。e-POWERの目新しさが、プリウスやアクアに勝ったのは間違いない。

次ページトップ10に入った日産車は2車種のみ
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 見過ごされる若者の貧困
  • 新型コロナ、「新しい日常」への前進
  • iPhoneの裏技
  • CSR企業総覧
トレンドライブラリーAD
人気の動画
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
日米の躍進銘柄を総まくり<br>発掘! 未来の成長企業

米国の株式相場上昇に目を奪われがちですが、日本でも未来を牽引する成長企業は確実に育っています。本特集では「新興成長企業」や「トップの通信簿」などのランキングを掲載。GAFAMやメルカリの次の新主役を探しましょう。

東洋経済education×ICT