リトル・マーメイドも叩く過剰リベラルの罪 行き過ぎたリベラルに戸惑うアメリカ人たち

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しかし、自分がどんなにリベラルで、性の多様性に賛成であっても、それを歓迎できない親はかなりいる。以前の記事で、ゲイのカップルがこうした性教育に最も嫌悪感を示した話を紹介したことがあるが、性的少数派に入る人の中にすら、「小さな子どもにこうした教育はふさわしくない」と考える人はかなり増えていると思えてならない。

そんな1人、ワシントン州ポールスボー市に住むマリア・ブラウンさんは、レズビアンのシングルマザーだが、公立学校の性教育についていけず、数年前に一人娘を「ホームスクール」に変更した。

小学生に性的マイノリティーの話をする意味

これまでも問題に思う点はいろいろあった。その1つはワシントン州が決定した性教育方針で、過剰ともいえる小学校向け性教育プログラムに懸念を示す親たちのミーティングにも積極的に参加していた。

そんな中、7歳の娘が通う小学校で「マイノリティーの代表として、レズビアンとして生きることも、異性愛者と同様すばらしいことであることについて話してくれ」と依頼された。ブラウンさんは、これがホームスクール移行への決定打となったと苦笑いする。「小学生にいったい何を話せというのでしょう? 私にはさっぱり意図がわかりません」。

ホームスクールとは、学校には通わせず、自宅、あるいはコミュニティーの有志が集まって、子どもに教育を行う仕組みのことをいう。ホームスクールは国への登録の義務がないため、正確な数字は把握しにくいとされているが、現在アメリカ全体で推定150万人強の子どもが、ホームスクールで学んでいるとされる。

ホームスクール・ドット・マーケティング社が毎年発行している『The Homeschool dot Marketing 2018 Report on the American Homeschool Market(アメリカのホームスクールの現状)』2018年版をみると、2013年以降ホームスクールへの移行者の数は、年間10%近く増え続けていることがわかる。

ブラウンさんが住むポールスボー市でも毎年ホームスクール家庭が増えているというが、そうした人たちと話していると、やはり公立学校の行き過ぎた性教育には、ほとんどが拒否反応を示す。

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