リトル・マーメイドも叩く過剰リベラルの罪 行き過ぎたリベラルに戸惑うアメリカ人たち

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マリアさんは言う。「性的少数派の多くは、リベラル派が推奨するような平等を求めてなんかいないし、リベラル派が暴走的に推し進めているような性教育が必要などと思ってはいません」。

「私自身がレズビアンでも、子どもは自分で自分の性に気づくまでは、自然体のままでいてほしいんです。学校が子どもの性について、意図的な刷り込みをすることは、歓迎される行為ではありません。マイノリティーへの理解は、ふさしい年齢になってからにすべきことだと断言できます。私の周囲には、そうした教育が嫌で子どもをホームスクールに切り替えた親がかなりいますよ」

トランプを生んだのはリベラルの責任

マリアさんの周りでは、公立学校に通う親でも「どうやって子どもたちを公立で行われる不必要な教育から守るか」といった対話集会を頻繁に行っているという。ポールスボー市というコミュニティー自体「今の教育や国のあり方が、子どもたちに望ましくないのでは」という問題意識を抱いているようだ。

筆者が参加した「真のリベラルは、どうやって現代リベラルの暴走を止めるべきか」という会合も興味深い内容だった。参加者はリベラル派なので、トランプ大統領や現政権のあり方には基本的には反対の立場だ。しかし、集まった人はみな、自戒の念にも駆られていた。彼らが集会を行った前提には、「人々がトランプ大統領を支持し、現在の政権に未来を託したのは、すべて自分たちリベラルの責任だ」というものがあった。

この会を取りまとめたジョン・マクラウドさんは、50歳の会社経営者。彼は昨年8月にアメリカ心理学会(APA)が発表した報告書の内容を取り上げ、「このままでは、暴走しているともいえる過激なリベラルたちがアメリカをダメにする」と警笛を鳴らした。

彼が問題視するのは、APAが昨年行った研究調査の結果だ。報告書は全36ページ。簡単に内容をまとめると、「伝統的な男らしさイデオロギーは男性の心理的発達を制限し、性役割の緊張と性役割の葛藤をもたらし、精神的健康と身体的健康に悪影響を及ぼす。また、男性の少年は学業の卓越性を追求するのではなく、同性愛嫌悪、いじめ、さらにはセクシャルハラスメントなどの破壊的な行動に力を注ぐ可能性がある」といったものになる。

「この報告書は実によく、現在はびこっているリベラル派の勘違いを象徴しています。男性性そのものを否定することは、人類の歴史そのものを否定しているのと同じ。セクハラ撲滅や性差のない社会づくりをしようという動き自体は正しいですが、リベラルが躍起になっている#MeTooなどは、社会混乱の種にもなっています」

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