アイルランドの魅力は法人税率だけではない リンクトイン、ドロップボックスが進出するワケ

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――雇用にも繋がっており、国民は支持していると。

そのとおりだ。企業を誘致することで、国内の経済活動は非常に活発化する。私どもの総人口は460万人相当と非常に小さいが、アップル、IBM、ヒューレット・パッカードなどの投資により多くの雇用が生まれている。

――例えばソーシャルメディアの企業誘致には、ルクセンブルクなどベネルクス諸国も力を入れている。ICT企業の誘致にはフィンランドも熱心だ。他国の動向は意識しているか。

確かに以前に比べると競争は高まっている。しかし、アイルランドは非常に強い優位性をもっている。何と言ってもトラックレコードをみてほしい。グーグル、ヤフー、アマゾンはすでに投資をしているが、最近になってリンクトイン、ドロップボックスもアイルランドを選んだ。これは先ほどの4つのT、4つのEといった点が強い優位性として評価されたためだ。

20の拠点で進出をサポート

――多くの著名企業が進出しているが、先方からIDAにアプローチがあるのか。それとも勧誘するのか。

先方からアプローチしてくれれば実に簡単だが、そうではない。私どもIDAは積極的なマーケティング活動を展開している。世界各地に20の拠点を設けており、そのうち米国には6つの拠点がある。専門性を持ったチームを構え、アイルランドの魅力をアピールすると同時にきめ細かいサポートをすることにより誘致を成功させている。

――IDAは多くのスタートアップと係わり合いを持っている。いっそのこと誘致だけでなく、出資もすれば相当な利益をもたらしそうだ。

いいアイデアだが私どもの任務は、投資を誘致するということ。プライベート・エクイティのようなことは行っていない。ベンチャーキャピタルはむしろ情報を仕入れるためのパートナー。一般的に、ベンチャーキャピタルはポートフォリオの中に20~100社の企業がある。ベンチャーキャピタルから得られる情報は、非常に重要なものだ。現地のニーズに合わせて適切なマーケティング活動を行うことの重要性は米国だけに限らない。それは東京事務所であっても同じだ。日本企業のニーズを把握することで、適切な提案をしていきたい。
  (撮影:今井康一)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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