ベンツ新型Aクラスに乗って見えた凄い実力 軽快かつ滑らか、先進の運転支援機能も装備

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先進の運転支援システムを備えたインテリア(筆者撮影)

そしてイマドキといえば、新型Aクラスでは運転支援に関してクラストップの装備が与えられていることに注目したい。

これらの装備内容に関しては、走る・曲がる・止まるを支援して安心・安全を実現する機構の充実ぶりはトップクラスの内容を持っていることは間違いない。

また今回の新型Aクラス最大のトピックといえるMBUXに関しては、今回日本語にローカライズされたものを使ってみたが、日本語にもしっかりと対応していた。

あいまいな言葉にも反応する能力は高い

欧州仕様などでは、「ヘイ、メルセデス!」という声に反応させていたが、日本仕様では掛け声は「ハイ、メルセデス!」とされた。ただしこれはあいまいな言い方でも反応するようで、「ヘイ、メルセデス!」でも反応する。つまりは言葉の中に「メルセデス」があると反応する仕組みのようだ。

また、「横浜に行きたい」とか「お腹がすいた」とか「明日の天気は?」といった言葉も問題なく聞き取って反応していた。発表会の際には、デモンストレーションで反応の悪さが目立ったが、あれは屋内でオフラインの状態での使用だったようで、オンラインになっていればその反応も悪くはない。もっともこのため、たとえば電話回線が通じない状況下ではオフラインでのMBUXの判断となるため、動作に多少の遅さは出てしまうだろう。

最近では他のブランドでもコネクトと銘打って、音声によるコントロールを可能としているユーザーインターフェースが存在するが、今回のMBUXはそうした中でもあいまいな言葉に反応する能力は高いといえる。ほかはまだ決められたコマンドを話す感覚だ。

実際に今回は走りながら何度もこの機能を使ったが、慣れてくると深い階層をたどる操作は言葉のほうが楽だと感じたし、エアコンやオーディオなどもスイッチ類を操作しないのが楽に感じてくるから不思議だ。

もちろん、どれも自分の手で行えば速いことは間違いないのだが、そうした操作で視線をスイッチや画面に向けずに済むというのは、運転環境を大きく変える要素になるだろう予感もした。そう考えると音声対話によるユーザーインターフェースは、安心・安全をさらに高めることにもつながっていくと感じた。

実際に今回、新型Aクラスを日本の公道で初めて走らせての印象は、いわゆる欧州Cセグメントの中でみて、3本の指に入る1台に間違いない。やはりその実力は高いものだった。が、それ以上に対話やさまざまなタッチで操作するイマドキの感覚が強くあり、これまでの自動車とは異なる次元の存在だとも感じた。

その意味で新型Aクラスは、確かにこれまでのクルマにはなかった「未来」を感じさせてくれる1台だった。

河口 まなぶ 自動車ジャーナリスト

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かわぐち まなぶ / Manabu Kawaguchi

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。2010年にWeb上の自動車部「LOVE CARS!」(部員約2200人)を設立し主宰。Facebook上に「大人の自転車部」を設立し主宰、2万人ものメンバーが参加。また同じくFacebook上に「初めてのトライアスロン部」を設立し主宰、1500人のメンバーが参加。TV、新聞、Web、各種自動車メディアに出演・寄稿を行うほか、YouTubeでは独自の動画チャンネル「LOVE CARS!TV!」(登録者数8万7000人)で動画を配信。Yahoo!ニュースに個人でも自動車に関する記事を発信している。趣味は水泳、自転車、マラソン、トライアスロンでは毎年アイアンマンレースを完走している。

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