早速走り出すと、国際試乗会で試したマルチリンク仕様とは異なる感触があった。
一般的にサスペンションはその形式で性能に差が生まれると言われる。たとえば可動部分が少ないトーションビーム式よりも、可動部分が多いマルチリンク式のほうがさまざまな路面状況や走行状況に対応するゆえに、優れた走りを実現すると言われてきた。
もっともその分、マルチリンク式はコストも高くつくわけで、それをCセグメントのモデルで採用するか否かは、車格や狙ったポジショニング等でも分かれるところ。このセグメントではVW「ゴルフ」が先々代で採用して以降、多くのライバルが採用してきた経緯がある。一方で安価に提供できるセグメントでもあるため、トーションビーム式を使い続けるモデルもある。
しかしながら最近では技術の進化によって、トーションビーム式でも優れた走行性能が実現できるようにもなりつつあるのが最新事情。たとえば今年登場するだろう「マツダ3」(日本名アクセラ)は、マルチリンク式をやめてトーションビーム式に切り替えた。これでコストと性能を高い次元で両立したわけだ。
そうした流れの中にあって、Aクラスは今回タイヤサイズの大きなモデルや上級グレードではリアにマルチリンク式を用い、タイヤサイズの小さなモデルや廉価グレードではトーションビーム式を採用するという使い分けを行った。
では、はたして今回のA180のトーションビーム式はどんなふうにマルチリンク式と違っていたか?
むしろトーションビーム仕様が良いと思わせる
実は印象としては決してネガティブなものではなく、むしろトーションビーム仕様が良いと思える乗り味、走り味を持っていた。
実際に走ってみると、路面からの入力をしっかりといなしつつも、つねにフラットな感覚を保とうとする感じがよく伝わってくる。
確かに大きな段差やひどく荒れた場所の通過では、リアからの突き上げはマルチリンク式のそれよりも鋭い感じがする。しかし想像していたよりもこのトーションビーム式サスペンションはよく動く。だからたとえば首都高のジョイントなどでは、なかなか悪くないいなしを見せるという印象だ。
海外で試乗したマルチリンク式リアサスのモデルは、路面にピタリと張り付いて滑らかに動く印象の上品な走りだったが、こちらは適度に路面を捉えつつ軽快に走る印象だ。国際試乗会ではA250の、クラスを超える圧倒的にレベルの高い乗り味、走り味に驚かされた。それとは違う感覚がこのトーションビーム式のリアサスだが、それでもこのクラスで見て何本かの指に数えられる実力に達していることは間違いない。
いやむしろ、このA180 Styleの軽快かつ滑らかな乗り味走り味のほうがむしろ、イマドキらしいとも感じた。
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