丸の内に今も残る85年前の「建築美」を探訪

重要文化財・明治生命館を360度カメラで撮影

明治生命館の建設が決定したのは1928(昭和3)年。指名コンペには当時活躍中の建築家8人が参加し、岡田氏の案が選ばれる。起工したのは1930(昭和5)年。しかし病弱だった岡田氏はその2年後に48歳で急逝。実弟の岡田捷五郎氏が後任を務め、1934(昭和9)年に建物は竣工した。

現在、明治生命館の2階展示室ではその建設工事の動画を見ることができるが、これは、病床の岡田信一郎氏に建設中の様子を見てもらい指示を仰ぐための映像だったという。

見事な石造の外観

この建物の見どころは、まずは皇居内堀沿いにそびえ立つ石造の外観だろう。巨大なコリント式柱の頭部には地中海地方に見られるアカンサス(葉アザミ)の華やかな葉飾りが施されている。石材には岡山県北木島産の花崗岩が用いられているが、この北木石(きたぎいし)は、石材においては言わば“ブランドもの”。

外観のコリント式柱。アカンサス(葉アザミ)の彫刻が見事(撮影:梅谷秀司)

明治以降の東京の西洋建築に用いられるようになり、辰野金吾氏設計の日本銀行本館などにも使われ、当時は関西の石工でないとその細かい施工や細工ができなかったために、大勢の石工が東京まで遠征してきていたという。

ギリシャ風の華麗な彫刻も石に「粘り」がないと彫っていくうちに欠けてしまう。北木石にはそうした「粘り」が備わっているために、この華麗な石造の外観が実現したというわけだ。

そして、建物の内部で見るべきは大理石。毎日10時から18時まで開放されているラウンジも立派だが、日時を限って公開されている1階店頭営業室や2階会議室、応接室、食堂なども、わざわざ訪ねていく価値あり。

イタリア産ボテチーノクラシコをはじめとする各種の大理石、そしてそれらを引き立たせる意匠や細工が床、壁、天井など建物各部に施されている。各部屋をつなぐ廊下や階段などの内装もすばらしい。1階から2階に上がるオーティス社製のクラシックなエレベーターもまるでタイムマシンのようだ。

1階の店頭営業室。イタリア産ボテチーノクラシコをはじめとする豪華な大理石で装飾されている(編集部撮影)
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