ヤマト、「午後出社運転手」の採用進まぬワケ 現場改革の切り札のはずだが、実態は厳しい

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10月下旬の平日、千葉県のショッピングモールで開かれたアンカーキャストの説明会。午前の会には参加者が1人しかいなかった(記者撮影)

アンカーキャストの導入は2018年春から本格化。会社は半数程度をパートなど社内からの移行、残りを外部からの採用で確保する考えだ。2018年夏から秋にかけ、全国でアンカーキャストの説明会や面接会を開いたが、思うように採用が進まなかった。

10月下旬の平日の午前中、千葉県内のショッピングモールで開かれた説明会にはわずか1人しか参加者がおらず、ヤマトの担当者2人は手持ち無沙汰だった。

求人情報誌に掲載されたアンカーキャストの募集広告。午後からの勤務をアピールしている(出所:タウンワーク社員)

あるヤマト社員は、「アンカーキャストの想定年収は300万円~400万円。もう少し稼ぎたいというパート社員からアンカーキャストへの移行は一定数あったが、この年収では外からはなかなか集まらない」と話す。宅配業界はドライバー争奪戦の様相を呈しており、外部からの採用における訴求力は弱いといえる。

会社は質よりも人数確保を優先か

アンカーキャストの質にもバラツキがありそうだ。セールスドライバーは1日100個程度配達するのが日常だが、「1日で30個しか配達できないアンカーキャストもいる」(別のヤマト社員)。アンカーキャストが配り切れない荷物が多いと、同じ地域を担当するセールスドライバーの負担軽減につながらない。「アンカーキャストの集まりが悪く、会社は人材の質よりも数の確保をとにかく優先させる方針に変わっていった」(同)。

また、アンカーキャストの制度が現場に十分に周知されていたのかも疑問だ。セールスドライバーの労働時間削減を目的に、アンカーキャストに集荷業務まで担当させていた支店もあった。

アンカーキャストの質や運用に反省があったのか、2018年11月の決算会見で、ヤマトの親会社・ヤマトホールディングスの芝﨑健一専務執行役員は「ただ人を入れても意味がない。どう活用するか、現場と相談しながら慎重に導入を進めている」と話した。

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