TX、利便性向上のカギ握る2大プロジェクト 東京駅や茨城空港への延伸構想、実現性は?

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地域密着の鉄道を目指す取り組みは確かに重要である。しかし、TXの魅力を高める方策はほかにないだろうか。

TXの魅力向上の最良の策としては、東京駅へのダイレクトアクセス実現を挙げることができる。建設費抑制のため、東京都内のTXターミナル駅を秋葉原駅としたため、新幹線が発着する東京駅へは北千住駅または秋葉原駅などでの乗り換えが必要である。

ライバルのJRは2015年3月14日に、常磐線快速・特急の品川駅までの直通運転を開始した。TXと常磐線の「中間地点」の住民にとって、東京駅方面へ出掛ける際の選択肢として常磐線が有力な候補となった。

JR東日本「路線別ご利用状況(2013~2017年度)」によると、常磐線日暮里駅―取手駅間の1日当たり平均通過人員は2014年度の34万9562人から2017年度は36万1889人へ増加し、品川駅乗り入れが一定の効果を上げていることがうかがえる。

東京駅延伸はTX沿線自治体の悲願

一方、TX沿線自治体にとってもTXの東京駅延伸は悲願である。流山市や柏市、守谷市、つくば市などの沿線自治体は、2006年以降、首都圏新都市鉄道のほか、超党派の国会議員で組織する「つくばエクスプレス利用・建設促進議員連盟」などへ継続的に要望を続けている。

2016年に公表された交通政策審議会答申『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』において「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として「常磐新線の延伸(秋葉原ー東京(新東京))」と「都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備(臨海部~銀座~東京)」が盛り込まれた。

首都圏新都市鉄道の中期経営計画の中の「交通政策審議会答申プロジェクトへの対応」においても、これら新線構想について国や関係自治体などとともに検討、情報収集に努める旨が記載されている。

特に、TX沿線自治体にとっては、品川駅乗り入れで利便性を高めた常磐線沿線自治体との定住人口獲得競争上、TX東京駅延伸の実現の重要性が高まりそうだ。

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