ソフトバンク上場、公開価格割れが示す難局 ファーウェイ問題、値下げ圧力、通信障害…
中でも特にソフトバンク関係者が、「株価への影響が最も大きかったのではないか」とみるのが、ファーウェイ問題だ。米国政府は、中国政府が通信機器大手のファーウェイを通じて不正に情報収集するおそれを指摘して規制を強めている。
日本政府も呼応して今月、本格的に“ファーウェイ排除”に動き出した。近く、通信などの重要インフラを担う企業に対し、ファーウェイなど中国製品の除外を求めるとみられている。
12月10日には、政府が安全保障上の問題から2019年4月以降、情報流出のおそれがある機器を調達しないことを各省庁や政府系機関で申し合わせた。
さらに12月14日に行われた総務省の電波監理審議会では、次世代通信規格5Gの電波割り当て指針案の中で、通信会社に対し、この申し合わせに留意するように求めた。名指しこそしていないが、情報流出のおそれがある機器というのは、ファーウェイなどの中国製品を指しているとみられる。
中国製設備を使うのはソフトバンクだけ
国内の通信会社のうち、既存の4Gの通信設備でファーウェイやZTEなど中国製を導入しているのは、ソフトバンクだけだ。一般的に通信の設備投資額は巨額だというイメージがある。そのため、中国製の通信設備を他国製に交換する費用などへの懸念が広がり、株価を大きく下押しする材料になった可能性がありそうだ。
通信各社は戦略上などの理由から、通信設備のベンダー別割合など、詳細は公表していない。ただ会見ではファーウェイ関連の質問が集中。「不安を払拭する必要がある」(ソフトバンク関係者)という判断もあり、ソフトバンクは導入状況を初めて明かすなどの説明に追われる形となった。その内容を額面通りに受け取れば、影響額はさほど大きくないことになる。
まず、今後の対応方針について宮内社長は「政府の本当のガイドラインを見極めたい」としつつ、「コアネットワーク(基幹回線網)の部分では欧州のベンダーに変えざるをえないと思っている」と述べた。コアネットワークは通信のネットワークで最も重要な回線であり、情報が抜き取られるリスクを避けるには交換が必須となりそうな部分である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら