米GMが描く“小粒”な日本戦略 「シボレー」「キャデラック」の新型車が登場

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ただ、米国本社が経営破綻した2009年を底に、「毎年20~25%台数が増えてきた」とGMジャパンの石井澄人社長は言う。「台数を闇雲に追いかけることはしない。無理な目標で数年前辛い思いをした。その反省から1台1台しっかり売っていく」。

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安定性が増した「キャデラックCTS」

GMジャパンは、12月から来年1月に名古屋、大阪、福岡で開催されるモーターショーに、今回発表になった新型車などを出展し、新規顧客の開拓を図る。一方で、先日行われた東京モーターショーには3回連続で出展を見合わせた。

セールス・マーケティング・ディレクターであるグレッグ・セデウィッツ氏は「東京モーターショーに出たい気持ちはあるが、年間の広告宣伝予算の大半を食い潰してしまう。地方のモーターショーに参加するなど、細かな販売ネットワークの改善にリソースを振り向けたい」と本音を明かす。

GMファンを増やせるか

日本での輸入車販売は、ドイツ車を筆頭に好調だ。GMとしても「アメリカのプレーヤーとして日本車にない価値を提供できると思う。最近のシボレーやキャデラックを気に入ってくれている人もいるので、そういう層にきちんとアピールしていきたい」(石井社長)という。

日本自動車輸入組合の12年度輸入車新規登録台数のデータに記載されているシボレーとキャデラックの販売台数は2794台。GMジャパンが明らかにした台数とかい離があるが、これは同社を経由せず独自に並行輸入された台数を含んでいる。日本に正式導入されていないモデルを欲しがる消費者が一定数いるのは確かだ。

今後は「GMファン」の支持を得ながら、いかに新たな層を着実に取り込むかがカギとなりそうだ。

(撮影:尾形文繁)

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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