巨大組織を破滅に導く「ほんのささいな」忖度 上司に「鼻毛、出てますよ」と言えますか?
「ゴーン」追放劇を招いた組織の空気
結婚式費用の支払いや私的な投資の損失補填をさせたり、はたまた業務実態のない姉に報酬を払わせたり……。日産のカルロス・ゴーン追放劇では、ゴーンが会社を食い物にする実態が次々と報じられていった。
まるで第1報の「ゴーン逮捕へ」を情報解禁の合図とでもしたかのようで、情報操作か何かかと勘繰ってしまうところだが、それはそれとして、権力者や地位のある者が会社に「私」を持ち込むことは、日産やゴーンほどの者でなくとも、平々凡々の会社の平々凡々の会社員のなかにも見られるだろう。
ささいなことでいえば、家族などとの私用の電話を、地位の高い者はオフィス内の座席からするが、地位の低い者はわざわざ廊下に出て行う。デスクに私物を置く置かないも同様だ。
私事に限らず、会社組織にあっては地位が高くなるほど遠慮がなくなり、低くなるほど遠慮がちになる。こうした意識が時に組織の腐敗や壊滅的な事故を招く。先頃刊行された『巨大システム 失敗の本質』(クリス・クリアフィールド、アンドラーシュ・ティルシック)は、さまざまな実例や心理実験などを基にして、その実相を詳らかにしていく。
本書に面白い実験のエピソードがある。面識のない3人にディスカッションを行わせ、そこにクッキーを盛った皿を差し入れる。するとまず全員がクッキーを1枚ずつ取る。では2枚目に最初に手を出すのは誰か。事前に1人に対して、密かにほかの2人を評価するように指名しておくと、評価者というささやかな権力意識を得たその者が2枚目に手を出すのであった。おまけにそういう者に限って、食べ方もひどく汚かったという。
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