役員9人辞任で露呈した官民ファンドの矛盾

産業革新投資機構が離陸早々に「空中分解」

12月10日、辞任会見を行う産業革新投資機構の田中正明社長。メガバンク出身の交渉上手も経産省の豹変に翻弄された(撮影:尾形文繁)

「経産省(経済産業省)による信頼関係の毀損が9名全員の辞任の根本的な原因だ──」

12月10日、政府が95%出資する官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)で田中正明社長や坂根正弘社外取締役(元コマツ会長)など11人いる取締役のうち民間出身の9人が辞任を表明した。会見した田中社長は経産省への不信感をぶちまけた。

JICはジャパンディスプレイやルネサスエレクトロニクスに投資した産業革新機構を改組する形で9月末に設立されたばかり(旧機構はINCJとして改組され、JICが子会社化)。離陸からわずか2カ月強で機長役の社長らが降りてしまう異常事態となった。

報酬案をめぐり対立が激化

官民ファンドと所管官庁の対立が表面化したのは辞任表明1週間前の12月3日。経産省がJICからの予算申請を認可しないと決定。理由としてJIC取締役の報酬に関する協議が不調であることを挙げ、さらに継続中の協議を「田中社長が一方的に打ち切った」と批判した。

JICは問題となった報酬案について、経産省から書面で提示されたものと反論文をホームページに掲載するなど応戦。両者は対立を隠そうともしなくなった。

経産省側は「事務的な失態」(世耕弘成経産相)として、大臣と嶋田隆事務次官の給与の一部返上など自らの非と責任は認めつつ、「信頼関係が壊れており、彼(田中社長)に国の資金2兆円を預けることはできない」(同省担当者)と田中社長に辞任を迫っていた。

両者で落としどころを探る動きもあったが、実ることはなかった。

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