ボルボ「XC40」に並み居る日本車が負けた理由 日本カー・オブ・ザ・イヤー18-19選出の裏側

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ちなみに筆者は下記のように配点した。

トヨタ「カローラ スポーツ」 10点
トヨタ「クラウン」 6点
ボルボ「XC40」 4点
三菱「エクリプス クロス」 3点
フォルクスワーゲン「ポロ」 2点

筆者はコンサバの代表と言われたカローラが世界のライバルとガチンコ勝負するために“直球勝負”で挑んだことを高く評価し10点を投じたが、XC40が今年のイヤーカーとなったことに異論はなく素直にたたえたい。本サイトの読者の方には一度試乗してその実力を体感していただきたいと思っている。

価格の高いクルマが選ばれるのはおかしい?

ちなみにネットなどでは2年連続でボルボが受賞した事に否定的な意見を言う人もいる。「価格が高いクルマが選ばれるのはおかしい」「選考委員は庶民感覚に欠けているのでは?」などのコメントだ。

もちろん、1人の日本人として日本車に頑張ってもらいたい想いはあるものの、未だに「日本車」と「外車」などと差別することのほうがナンセンスだと思う。

それにCOTYは「“日本車”オブ・ザ・イヤー」でも「“価格”オブ・ザ・イヤー」でも「“販売台数”オブ・ザ・イヤー」でも「“サイズ”オブ・ザ・イヤー」でもなく「カー・オブ・ザ・イヤー」である。クルマとして総合力/魅力の高いモデルが選ばれて当然だと思う。

また、COTYには部門賞も用意されており、環境/安全/その他の革新技術を持つクルマを選ぶイノベーション部門賞はホンダ「クラリティPHEV」、秀でたデザイン/ドライブフィールを持つクルマを選ぶエモーショナル部門賞はBMW「X2」、そして軽自動車/小型モビリティから選ぶスモールモビリティ部門賞はダイハツ「ミラ トコット」が受賞した。

さらにCOTY実行委員が選ぶ実行委員会特別賞には、商用車のためイヤーカーのノミネートができないが軽自動車の世界を大きく広げたホンダ「N-VAN」とル・マン24時間を圧倒的な強さで制した「TOYOTA GAZOO Racing」に贈られた。

平成最後のCOTYはこのような結果になったが、新しい元号での「2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤー」はどのような精鋭が出揃うのか? 今から非常に楽しみである。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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