3メガ融資先、パーム油生産大手で人権侵害 インドネシアで実態判明、ESG方針の試金石に

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インドフードの開示資料によれば、メガバンク3社は9月末現在、インドフードグループに700億円近い融資残高がある。しかもメガバンク3社は5月から6月にかけて、環境や人権問題への配慮を明記した新たな投融資方針を定め、ESGに配慮した事業運営に取り組むことを明らかにしている。それゆえ、事態を静観できなくなっている。

三菱UFJフィナンシャル・グループは5月15日付で「MUFG環境方針」「MUFG人権方針」および「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定。7月1日から適用を開始している。MUFG人権方針によれば、「お客様に対しても、人権を尊重し、侵害しないことを求めていきます」と明記。「提供する商品やサービスが、人権侵害の発生と直接的に結び付いている場合は、適切な対応を取るようにお客様に働きかける」と記している。

インドフードの農園では、産休を認めないなど、女性労働者への差別も蔓延している(提供:RAN)

三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友銀行は「事業融資方針の制定およびクレジットポリシーの改定について」と題したニュースリリースを6月18日に公表。石炭火力発電や森林伐採と並び、パーム油農園開発への対応を明記したうえで、「違法伐採や児童労働などの人権侵害が行われている可能性の高い融資を禁止します」と明言している。

3メガは個別取引の回答を留保

一方、6月13日に「責任ある投融資等の管理態勢強化について」と題した方針を発表したのがみずほフィナンシャルグループ。法令やルールに違反する取引先について、「公共性や社会的正義、人道上の観点から取引を行わない」と明記。「パームオイル、木材」分野を挙げたうえで、「それらの人権侵害や環境破壊への加担を避けるため、持続可能なパーム油の国際認証・現地認証や先住民や地域社会とのトラブルの有無等に十分に注意を払い、取引判断を行います」と述べている。

問題はこうした方針がきちんと機能しているかどうかだ。東洋経済は3メガバンクに質問状を送付。今回のRSPOによる違法行為認定に関しての見解や融資方針見直しの有無、インドフードおよびグループ企業への融資に際して、これまでどのような注意を払ってきたのかについて尋ねた。

だが、3社とも「個別取引にかかわる質問については回答を控える」などと回答した。そのうえで、みずほは一般論として、「『特定セクターに対する取り組み方針』に基づいた判断を行うとともに、エクエーター(赤道)原則(大規模プロジェクト向け融資における環境・社会への配慮基準)への取り組み等を通じて、環境・社会影響を考慮してリスク管理を行っている」と説明。三菱UFJは「(MUFG人権方針などについては)ビジネス環境の変化に応じて定期的に見直しを行い、個別セクター追加や既存ポリシーの高度化を図る方向で進めていく。パームオイルについても検討対象になると考えている」と答えている。

三井住友は「パーム油に関しては、今年度に事業別融資方針を制定し、融資採り上げに際して、一定の基準を満たした国際認証の取得状況などを確認し、融資判断を行っている。また、“人権侵害につながるようなリスクを最小化するため”お客様との対話に努めている」などとしている。

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