北朝鮮はなぜ「戦略兵器」の実験を行ったのか

米韓海兵隊の合同訓練が神経を逆なで

北朝鮮が兵器実験のニュースを流すことにした最大の理由は、米韓が軍事演習を再開した点にあるとみられる。

6月の米朝首脳会談を受けて、米韓の軍事演習は無期限に停止される、と発表された。北朝鮮との対話を前進させるためだ。しかし、米韓は11月上旬に「KMEP」と呼ばれる極めて小規模な米韓海兵隊の合同訓練を再開した。2週間の予定で行われる500人規模の訓練だ。

海兵隊の合同訓練再開で不満をあらわに

ただ、これは米韓の合同軍事演習全体から見れば、ごく小規模な訓練にすぎない。アメリカのジェームズ・マティス国防長官と韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は10月にシンガポールで会談し、12月に予定されていた、より大規模な空軍演習「ビジラント・エース」の中止を発表したばかりだ。

米韓はこの夏、8月に予定されていた「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」(コンピューターシミュレーションを用いた合同軍事演習)を中止。この12月には、来年春に予定されている「キーリゾルブ」「フォールイーグル」という2つのコードネームを持つ定例の大規模軍事演習の中止も発表される見通しだ。

このように米韓は北朝鮮有事に備えた大規模軍事演習を見送ってきたが、北朝鮮は海兵隊の合同訓練再開に不満をあらわにしている。朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、同演習を「朝鮮半島から戦争と敵対行為の危機を実質的に排除すると誓った、南北の軍事合意に真っ向から違反するもの」と批判した。

とはいえ、韓国と北朝鮮が9月19日に署名した「軍事分野合意書」はおおむねスムーズに実行に移されている。韓国国防省は海兵隊の合同訓練は自衛目的の極めて小規模な演習だと強調し、労働新聞による批判をはねつけた。

アメリカと北朝鮮の間では、高官協議も暗礁に乗り上げている。11月上旬には北朝鮮がニューヨークで予定されていたマイク・ポンペオ国務長官と金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長の会談を土壇場でキャンセル。その少し前には、「アメリカが制裁を続けるなら、核開発と経済建設を同時に進める『並進路線』が復活しかねない」とほのめかす政府高官名の論説が北朝鮮メディアで流されている。

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