ネット企業が続々誕生 フィンランドの秘密 「ノキアの国」が、今ではベンチャー企業の集積地に

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1000社以上が集結

今年で6回目になるスラッシュは11月13~14日に開かれた。スカイプ創業者のニクラス・ゼンストローム氏、モビーダ・ジャパンの孫泰蔵社長、ディー・エヌ・エー創業者の南場智子氏などが参加。イベントの冒頭にフィンランド首相も現れるなど、注目の高さを印象づけた。

今年のスラッシュには1000以上の企業、5000人以上の聴衆が集まった。ステージ上では15分間隔のプレゼンテーションが行われ、場内ではベンチャー経営者が投資家と熱心に情報交換する光景が見られた。イベント終了後には大々的なパーティが行われるなど、お祭りのような様相を呈していた。

登壇企業がプレゼンするサービス内容は多岐にわたる。たとえば「どこでもネット通販ができる」を売り文句に10年に誕生したキオスクは、あらゆるウェブサイトのコンテンツを購買に結び付けるプラットフォームビジネスを展開している。

フィンランドの振興策の余波は、バルト海を囲む周辺諸国にも及んでいる。スラッシュにはフィンランドだけではなく北欧全域、ロシアからもスタートアップが集まる。
 音楽の定額ネット配信サービスで知られるスポティファイは、スウェーデン生まれのスター企業。米国をはじめ世界主要国で音楽配信のナンバーワンプラットフォームになっている。

「日本でも起業が盛んになり、質も上がってきている。しかし、絶対的な数が少ないうえ、世の中を変えるような破壊的なベンチャーも少ない」。こう語るのは、モビーダの孫泰蔵社長だ。「国の政策や規制緩和は非常に重要。外野から言うだけではなく、これからは具体的なことを提言していきたい」。

新陳代謝の促進と周辺の国々を巻き込んだ交流イベントの開催──。日本の起業環境を改善するために、フィンランドの実績から学ぶことは多そうだ。

(週刊東洋経済12月2日発売号)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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