eスポーツ「スポーツか否か」の不毛な論争 「普遍性がない」と批判されるのはなぜか

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デジタルゲームの歴史はアタリ社の『PONG』からカウントしても45年程度、タイトーの『スペースインベーダー』からカウントしても40年程度の歴史です。

10月から11月にかけて世界大会が開催されていた『リーグ・オブ・レジェンド』。リリースから9年経った現在でも人気が衰えず、それどころか世界で最も遊ばれているeスポーツタイトルに成長しています(筆者撮影)

現在eスポーツのタイトルとして稼働しているタイトルを見てみると『リーグ・オブ・レジェンド』は約9年、『カウンターストライク』シリーズは約18年、『ストリートファイター』シリーズは『II』から数えて27年経っています。『ぷよぷよ』シリーズは対戦ゲームとして確立した『ぷよぷよ通』から24年です。

また、タイトルの続編が作られないことで、プレーする環境がなくなる場合もありますが、ジャンルそのものが消滅することは現時点ではありません。同じジャンルであれば、ほかのタイトルへの転向もしやすく、実際、『ストリートファイターV』のプロ選手である板橋ザンギエフ選手はもともと『バーチャファイター』のプレーヤーでした。『ぷよぷよ』のプロ選手のあめみやたいよう選手も『テトリス』プレーヤーで、同じパズルゲームとしての転向組です。

リアルスポーツでも、サッカーや野球といったトップクラスの人気競技は普遍的で、ずっと残っていくものだと考えてしまいますが、そこまで人気が集められなかったスポーツは、プロが廃止されたり、大会自体が開かれなくなったりもしています。

たとえば1970年代に日米で一大ムーブメントとして人気を誇ったローラーゲームも今やプロリーグが存在しないだけでなく、プレーすることもかなわない状況です。同時期に流行したボウリングは現在もプロリーグは存続し、BS放送などで番組も放送していますが、やはり当時に比べれば、その勢いの差は歴然です。

リアルスポーツだから普遍的で永続的であるというのも、トータルで見ると、そうとは言えないということがわかります。

一貫性や普遍性のなさをもって否定するのは的確か

まだまだ歴史が浅く、技術革新の激しいデジタルゲームにおいて、これだけ長い期間に稼働し続けるタイトルがあるというのは、普遍性や統一性がまったくないとは言い切れません。

統一性や一貫性、普遍性がスポーツにはあってeスポーツにはないと言うのは、早計ではないでしょうか。eスポーツという名称に正当性や妥当性があるとは考えておりませんが、一貫性や普遍性のなさをもって否定するのは的確ではないと言えるでしょう。

時代によってルールやレギュレーションを変更することは、その種目の完成度を高めることに寄与し、新たな面白さの発見にもつながります。まったく変わらない競技は、時代にそぐわないとして、自然と淘汰されてしまうものも出てくるのではないでしょうか。

なので、デジタルゲームが変わり続けていくと言うのは、統一性や一貫性以上に重要な要素と考え、進化と捉えたいところです。もしくは根幹であるゲーム性を維持するため、一貫性を保持するために、必要なものであると考えるほうが建設的なのではないでしょうか。

岡安 学 デジタルライター

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おかやす まなぶ / Manabu Okayasu

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、ウェブや雑誌、ムックなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas

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