eスポーツ「スポーツか否か」の不毛な論争 「普遍性がない」と批判されるのはなぜか
eスポーツを語るとき、「スポーツか否か」の論議になってしまうことが多々あります。スポーツという言葉からは「運動」をイメージする人が多く、運動を伴うことがほとんどないデジタルゲームをスポーツと呼ぶことに違和感を覚える人が多いからです。
スポーツという言葉自体には、「運動」以外にも「娯楽」や「競技」といった意味もありますが、それを説明したところで納得できない人がいるのは仕方ないことでしょう。
そのあたりは、大食いコンテストに出場する選手をフードファイターと呼称することに対する違和感と同様に考えてもらうとわかりやすいかもしれません。彼らは「戦士」ではないですし、実際戦うわけでもありません。それでも“フードファイター”と呼ばれています。eスポーツも「電気」でも「運動」でもないわけですが、フードファイターと同じような感覚でとらえてもらえばよいのですが。
スポーツとしての統一性、普遍性はあると言えるか
また、スポーツと定義したうえで、多く語られるのが、普遍性や一貫性、統一性の有無です。そして、それに伴う公式記録の一貫性も問われています。確かにデジタルゲームであるeスポーツは、ハードやマシンの進化によりタイトルもメジャー、マイナーチェンジをしてきています。
たとえば、古くからゲーム大会を開いており、現在のeスポーツシーンでも人気タイトルとして君臨している対戦格闘ゲームの『ストリートファイター』シリーズも何回もバージョンを変え、進化してきました。
『ストリートファイターII』が1991年にアーケードタイトルとしてリリースされてから、2018年現在PS4やPCでリリースされている『ストリートファイターVアーケードエディション』までの間、『ZERO』シリーズ、『III』シリーズ、『IV』シリーズなどのバージョンを変えたナンバリングタイトルをリリースしています。また各ナンバリングタイトルにも複数のエディションがあり、総タイトル数は15を超えます。27年間の間にこれだけの変化があれば、スポーツとしての統一性、普遍性を疑う人が出てくるのはわかります。
しかしながら、『ストリートファイター』シリーズは、いずれも根本的な遊び方や基本的なルールは同じです。1対1で戦い、レバーと6つのボタンを使い、パンチやキックを繰り出し、コマンド操作で必殺技を出し、相手の体力をゼロにしたら勝利となるという基本的なルールは変わらないわけです。
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