eスポーツ「スポーツか否か」の不毛な論争 「普遍性がない」と批判されるのはなぜか

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ルールやレギュレーションが変わってしまうと、公式記録も残せないのではという意見もあります。これに関しても陸上競技や水泳競技のような、どこで競技しても記録の統一性が取りやすいスポーツ以外は、国際的な公式記録は作りにくいのが実情でしょう。

サッカーの場合、ワールドカップや国際Aマッチの公式記録があったとしても、プロ選手としての記録は各リーグに依存するため、すべてが横並びで比較するのは難しくなってしまいます。

野球にしてもイチロー選手の通算安打数は、メジャーのみでカウントするのか、日本プロ野球も入れてカウントするのかが議論の種になっており結論は出ていません。

記録の統一性を疑問視する事案はプロ野球にもある

日本のプロ野球に限ったとしても記録の統一性を疑問視する事案はあります。その顕著な例が統一球問題です。2011年に導入された統一球は、飛ばないボールとして認知されています。西武ライオンズの中村剛也選手以外のほとんどの選手は統一球に対応できず、ホームラン数が激減しています。通算ホームラン数という記録において、この統一球を経験した選手と経験していない選手では大きな隔たりがあることは確実です。

それ以前の話になると、球場のサイズの問題が出てきます。読売ジャイアンツが東京ドームの前に使用していた後楽園球場や千葉ロッテマリーンズの前身であるロッテオリオンズの本拠地であった川崎球場など、それらの球場が現役で使用されていた当時の球場の多くは現在使われている球場よりも狭く、ホームランが出やすい傾向にありました。

そんな状況の中で広すぎる球場として認識されていた甲子園球場には球場を狭くすることでホームランが出やすくなるように施策しています。球場を狭くするラッキーゾーンを設置し、狭い球場との差異をなくしたのです。

球場の大型化に伴い、ラッキーゾーンは1992年に撤去されており、現在はありません。狭い球場やラッキーゾーンが存在した時代のホームラン数と現在のホームラン数を単純に比較してよいのかも疑問が残ります。そもそも球場のサイズがバラバラであっても問題がないという時点で統一性はなかったと考えるべきなのかもしれません。

さらにフィギュアスケートでは、2018年に採点基準が変わり、得点記録はすべてリセットされると発表されています。羽生結弦選手が持つ歴代最高得点330.43点は「歴史的記録」という今後の記録とは別の記録として扱われるようになっています。

現状ではそういった状況も含めての「記録」となっているので、デジタルゲームにおいても多少のバージョン違いによる記録の差異は許容範囲といえるのではないでしょうか。

そもそもeスポーツにおいての記録というと、トーナメントの優勝や年間ツアーのチャンピオンなどが挙げられ、タイトルにもよりますが、細かい個人記録は残っていません。たとえば『ストリートファイターVアーケードエディション』の最多昇龍拳ヒット賞とかはないので、記録に関しては、あまり考えなくてもよいのかもしれません。

リアルスポーツにおいても、ルールやレギュレーションは時代や必要性に応じて変化していくものであり、eスポーツのタイトルの変化もそれに準拠するものではないでしょうか。

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