「嫌な話」は15秒にまとめるとすごく伝わる 万能「ハンバーガーのフォーマット」とは何か

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これはメールの件名でも、同様のことがいえます。「齋藤です」といった件名よりは、「勉強法の本の打ち合わせについて」といった具体的な件名のほうが、相手にひと目で「話したい内容」が伝わるので望ましいといえます。

さて、「話し始め」のあとが「肉」の部分になります。ここが言いにくい部分、いわば「そのまま素手でつかむのはためらわれる肉の塊(かたまり)の部分」です。素手でつかむことがないように、パンではさむわけですね。

くどくどと自分の事情を述べない

「肉」の部分はさまざまなケースが考えられますが、共通して重要なのは「くどくどと自分の事情を述べない」ということです。

人は、自分は悪くないということを主張したいと思うあまりに、客観的にみると本筋とは関係のない細々とした「自分の事情」や言い訳を入れ込みたがるものです。「以前はそんなことなかったのですが」とか、「ちょっと仕事が重なってしまって」など。しかし相手にしてみれば、現状の問題解決には不必要な情報ですし、「もしかしたら、この人は自分の都合のいいように解釈しているのでは」と思われてしまう危険性もあります。

言いにくいことほど、なるべく客観的な事実だけを述べて、相手の信頼感を得られるようにしたほうがよいでしょう。

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そして、締めの一言。先ほどのケースでは「別の言い方をしていただけないでしょうか。私も、必ず態度を改めますので」がそれにあたります。

言いにくいことを言う場合、最後は「提案の形で切り上げる」のが望ましい終わり方になります。

言いにくいことを言うということは、結局いま起こっている何らかの問題を取り上げることを指します。1つの問題に対して、「困ったね」「どうしよう」という状態のまま終わらせることは難しく、「とりあえず先延ばしにしておこう」などと強引に終わらせるしかありません。対処策が生まれないと、コミュニケーションが完結しないのです。

以上のように、「話しかけの一言」+「言いにくい内容」+「提案の形で終わる締めの一言」。これが、言いにくいことを話すときの基本フォーマットになります。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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