台湾に登場、公共交通「定額乗り放題」の衝撃 1カ月6000円で電車もバスも、タクシーまでOK

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このようなサービスが高雄で始まった理由について、高雄メトロの担当者は「MaaSは中央政府の方針だ。その中で高雄はさまざまな交通機関が走っているために対象の都市として選ばれた」という。公共フェリーや台湾初のLRTといった複数の交通機関があり、組み合わせて利用しやすいためだ。

また、高雄市の公共交通が厳しい環境に置かれていることもMaaSを導入する都市として選ばれた大きな理由だ。

高雄市の道路や駐車場にはバイクが目立つ。電動バイクも走っているが、少数派だ(筆者撮影)

高雄市の交通分担率を見ると、台鉄・MRT・バス・タクシーを含めた公共交通の交通分担率はわずか14.6%(2016年調査)にとどまる。これは台北市の62.7%や、台湾全体の平均の24.7%を大幅に下回っている。そしてバイクの交通分担率は67.5%にものぼる。

このため、公共交通の利用定着に向けた取り組みは以前から行われてきた。たとえば、LRTが暫定開業した2015年10月から2017年11月までは運賃を無料とし、その後もICカード利用の場合は通常より安く乗車できる取り組みが行われている。

しかし、実際にはこうした思い切った施策を行ってもなかなか公共交通利用が定着しないのが実情だ。

MaaS導入を支える交通ビジョン

「Men▶Go」によるMaaSの実施に関しては大きなポイントがある。それは自治体に公共交通に対するビジョンがあり、それに基づいてMaaSを導入するための環境づくりがしっかり行われていることだ。

高雄市の交通局は、都市交通政策として「統合された交通」「信頼性のある交通」「エコ・モビリティ」「効率的な交通」「便利な交通」という5つのビジョンを掲げている。

これらのビジョンの内容は、さまざまな交通機関を組み合わせた総合交通ネットワークの確立、既存システムの連携の強化、迅速かつ時間どおりの公共交通システムの構築、バリアフリー輸送の品質向上、低炭素で持続可能な輸送環境構築、ビッグデータの活用などだ。

特筆に値するのは、これらと並んで「適切な交通機関をより効率的に選択できるようにする」という、MaaSにほぼ等しい考え方が元から取り入れられていることだ。

こうしたビジョンの下でつくられた高雄市の交通はさまざまな工夫がなされている。特に、異なる交通機関同士の乗り継ぎがしやすいのが特徴だ。

MRTの駅周辺地図にはC-bikeのポートやバス乗り場がどこにあるか細かく描かれている(筆者撮影)

たとえばMRTの駅。出口の先には日本と同じように地図があるが、ここにはバス停とシェアサイクルのアイコンがある。出口案内にもバスとシェアサイクル、それぞれの乗り場に近い出口が示してあり、さらに出口の階段にはどの系統のバスがあと何分で来るか表示する電光掲示板がある。

また、自転車の走行環境がよいのも高雄の強みだ。いたるところにシェアサイクルのポートがあり、自転車専用道も整備され、段差や走行レーンのストレスが少ない。

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