台湾に登場、公共交通「定額乗り放題」の衝撃 1カ月6000円で電車もバスも、タクシーまでOK
「Men▶Go」には4つのプランがある。中でも目玉となるのが、MRT、LRT、中心市街地のバス、シェアサイクル、フェリー、タクシーをカバーする「無限暢遊方案」だ。
このプランで乗り放題になるのはMRT、LRT、中心市街地のバスだ。これらはいつでも無制限に乗ることができる。シェアサイクルは、指定場所から借りる「C-bike」が30分無料(MRTから乗り継ぐと60分無料)で利用できる。はじめはどこでも乗り捨て可能な「O Bike」が月60回まで60分無料で使えたが、その後さまざまな事情から利用できなくなっている。
フェリーとタクシーの利用には条件がある。フェリーは月4回まで無料。タクシーはポイント制で、「無限暢遊方案」を1カ月分購入すると600台湾ドル相当のポイントが付与され、1回の乗車につき初乗り料金の85台湾ドル分がポイントから引かれるという仕組みだ。月に7回分の計算だが、このポイントは翌月に繰り越せない。利用するには、指定のタクシー会社のアプリと「Men▶Go」を利用するためのICカードを連携させる。
「無限暢遊方案」の価格は1カ月1600台湾ドル(学生は1400台湾ドル)だ。これは日本円換算で約6000円(学生は約5000円)で、物価の差を考慮すると約1万2000円(学生は約1万円)くらいの感覚になる。現在は12月までの期間限定で1499台湾ドル(学生は1299台湾ドル)だ。
ところで、台鉄では現在、このサービスを使うことはできない。これについてMRT、LRT、シェアサイクルを運営し、「Men▶Go」で大きな役割を果たしている高雄メトロ(KRTC)の担当者は「台鉄は来年以降、順次サービス範囲に含めていく」と話す。また、今後は「電動シェアバイクや駐車場にもサービス範囲を拡大していく予定だ」という。
限りなくドアtoドアに近い
さて、この乗り放題サービスはICカードを使えば乗り放題になるというだけではない。専用のアプリを利用すれば、すべての交通モードを考慮した経路案内が示され、限りなくドアtoドアに近い形で市民の移動をサポートできるようになっている。
こうした複数の交通機関を横断的に利用できるサービスを、高雄市と中央政府の交通局運輸研究所が協力して開発し提供するのが「Men▶Go」のプロジェクトなのだ。
これは「MaaS」(Mobility as a Service)という交通の新しい概念に含まれる取り組みでもある。2014年にフィンランドで試験的に始まったサービスをきっかけに世界中に概念が伝わり、いま世界中で公共交通利用促進のキラーコンテンツとして導入されつつある。
日本でも「MaaS」という言葉は流行しており、10月4日に発表されたトヨタとソフトバンクの提携でも注目された。台湾でもフィンランドの取り組みを研究し、MaaSの導入が検討されたが、その中で候補地として白羽の矢が立ったのが高雄だった。
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