「SUV」が世界の新車市場を席巻した本質理由 もしホンダがスーパーSUVに参入したら?
西村 直人(以下、西村):今のSUVは「最大公約数」ですね。1台ですべてを賄おうとするとSUVはこうしたスペック、ブランド力、価格帯のクルマになるかと思います。たとえば輸入車のSUVに魅力を感じている人はそのブランド力も欲しいわけで、決して安価なSUVが欲しいわけではなく、だからといって極端に高いSUVを購入するわけでもありません。その意味で、しっかりとしたブランド力があり、スポーツカーの要素を含んだSUVが欲しいとなると、ポルシェは、すごくはまる。
SUVの先駆者であるトヨタ「ハリアー」、SUBARU「フォレスター」、輸入車ではメルセデス・ベンツ「Mクラス」などは、もともとは本格的なSUVの性能とセダンの実用性を掛け合わせたクロスオーバーとして誕生した経緯がありました。それがいつしかさまざまな形態へと進化し、BMWのようにSAV(Sports Activity Vehicle)や、SAC(Sports Activity Coupe)など細かく分類するメーカーも出てきている。ここには競争が激化する中で、特化したカテゴリーを打ち出して需要を取りたいという狙いがあるのでしょう。世界中の自動車メーカーがSUVをラインナップにもっているという実状から、SUVの飽和が近づいているようにも思います。
SUVは新鮮味を出す格好のツール
藤島:クロスオーバーとは、別の要素のものを組み合わせるということです。スポーツクーペとSUVで組み合わせるケースもあるし、高級車とSUVの組み合わせもあり、変化を出しやすいんですね。自分たちのブランドの価値を継続するために、何かしらの変化がないと新鮮味を維持できないと考えたときに、SUVは格好のツールではないでしょうか。
西村:その意味でパワートレーンに注目すると、SUVはプラットフォームの関係から最低地上高を確保しながらも床下を高く取れるので、たとえば燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)のベース車両にもなりえます。実際、メルセデス・ベンツの「GLCクラス」ではプラットフォーム1つで一般的なガソリンやディーゼルエンジンの内燃機関モデル(ICE)、EV、FCVの3つのパワートレーンを実現している。このようにSUVはいろんな意味で自由度が高い。
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