タイミング最悪「ゴーン逮捕」にフランス動揺 日仏交流160周年の節目に起きた大事件

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実際、複数のルノーおよび日産の元幹部がイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙に語ったところによると、日産とルノーという企業文化がまったく異なる2社をまとめられるのはゴーン氏だけだとしており、「彼ら(日産とルノー)はお互いを信用していない。ブランドヒストリーやそれに対するプライドなど、2社の企業文化はまったく違う」。

それどころか、今回の逮捕劇は日仏関係に影響を与えかねない。今回、東京地検特捜部は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いでゴーンを逮捕しており、今のところ脱税の容疑はかけられていない。実のところ、フランス人のビジネス界隈では「このくらいで逮捕されるのか」と動揺が広がっている。

「ゴーンはルノーで働くのが好きじゃなかった」

こうした中フランスのビジネス関係者からは、「日産自体が自らのトップにいくら払っているかきちんと認識できていないようなことが本当に起こるのか」という声が上がり始めている。

「仮にルノーとフランス政府が、特捜が誤った判断をしたと感じれば、日産のすべての取締役を”クビ”にすることもできるのではないか。ルノーが日産株43%を所有している以上、日産は事実上、フランス側が経営しているようなものだ」(前出のビジネス関係者)

実際、ルノーにはそこまでできないうえ、ゴーンとフランス政府、あるいはルノーとの関係はそこまで親密なものではなかったようだ。あるルノー関係者は言う。「ゴーンはルノーで働くのは好きではなかった。日本の社員は彼の命令を聞くから。ゴーンは日産で電気自動車の開発を推進していたが、あれはルノーではできなかった」。

ゴーンに対する評価はさまざまだが、日本とフランスのビジネス関係を深めるうえで、重要な役割を果たしたことは間違いない。今回の「ゴーンショック」が、はたして日仏関係にどんな影響を与えるだろうか。

(一部敬称略)

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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