レクサス「ES」乗ってわかった高級FF車の実力 室内は広々、乗り心地や走行性能も侮れない

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いっぽうでFWDは後輪に動力を伝えるシャフトが不要のため、サイズのわりに車内を広くできるほか、部品点数が少なくコストを抑えられる。ベーシックカーにもってこいというわけだ。ただし現在では、サスペンションを含むシャシーやタイヤなどの技術革新によって、FWDでもある程度までのハイパワーであれば路面に効率よく伝えられるようになった。具体的には3.5リッターV6エンジンのパワー程度であれば、FWDでも受け止めることができる。また同様の理由でハンドリング面でも公道レベルではほとんどネガを感じることがなくなった。

にもかかわらず、世の中のほとんどのプレミアムカーはエンジン縦置きのRWD(かRWDベースの4WD)だ。BMWミニやメルセデス・ベンツのNGCC(A、B、CLA、GLAクラス)など、Cセグメントまではエンジン横置きのFWD(かFWDベースの4WD)でプレミアムに挑み、成功する例が増えてきたものの、Dセグメント以上となるとほとんどがエンジン縦置き(ただしSUVのRXは例外で、FWDモデルが販売の主流となっている)である。

例外はボルボくらいか。プレミアムカテゴリーのエンジン縦置き信仰が根強いことがわかる。プレミアムの老舗、キャデラックは1970年代からFWD化を進め、一時期はフルサイズサルーンを含めほとんどをFWD化したこともあったが、結果的に低迷し、90年代に再びRWDに戻して復活した。

GSの代替えとしてのポジション

ただしアメリカ市場はRWDへの信仰心が薄い。その証拠にレクサスは1989年からエンジン横置きのESを米国へ投入し、歴代成功を収めてきた。もし日本でもESがヒットし、エンジン横置きのFWDのプレミアムサルーンも受け入れられると判断できれば、発売から長年経過し、放置気味になっているGSと事実上置き換えることができると、レクサスは考えているのではないだろうか。

置き換えるというのは言い過ぎにしても、ESが好調に推移していれば次期GSの開発をあわてる必要はないと考えているような気がしてならない。ただしこのことをレクサスの然るべき立場の人にぶつけると「そのとおりです」という人はおらず、「次のGSもちゃんと考えています」という答えが返ってくるばかりなのだが。

いずれにせよ、僕個人はこのESの出来ならプレミアムサルーンがFWDでもいいなと思った。

塩見 智 ライター、エディター

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しおみ さとし / Satoshi Shiomi

1972年岡山県生まれ。関西学院大学卒業後、山陽新聞社、『ベストカー』編集部、『NAVI』編集部を経て、フリーランスのエディター/ライターへ。専門的で堅苦しく難しいテーマをできるだけ平易に面白く表現することを信条とする。自動車専門誌、ライフスタイル誌、ウェブサイトなど、さまざまなメディアへ寄稿中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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