レクサス「ES」乗ってわかった高級FF車の実力 室内は広々、乗り心地や走行性能も侮れない

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車内は前後とも広々。荷室も443リッターと十分な容量を誇る。荷室幅が広く、ゴルフバッグを真横にすっきり収めることができるのは日本車ならでは。低く見える流麗なデザインだが、実際には特別低いわけではないうえに、座面を低くできる新世代プラットフォームの恩恵もあって、後席の頭上に十分な空間が確保される。

ハイブリッドシステムは、プリウスをはじめ多くのトヨタ車でおなじみの……といえばそのとおりだが、高剛性で遮音対策も十分な車体で味わうと、走行中何度となく聞くことになるエンジンの始動音もさほど気にならない。モーターで発進し、途中でエンジンがかかり、あとはモーターかエンジンかその両方かをクルマが判断するハイブリッドシステムに新鮮味はないものの、不満も感じない。十分な力強さを発揮するし、車載燃費計の数値にも満足。飛ばせば十分に交通の流れをリードできるし、市街地をおとなしく走ればエンジンが始動する回数は減り、EVのようなスムーズさを味わうこともできる。

ことさら主張してくるパワートレーンではないが、ESの性格に合っていて好ましい。バッテリー残量が十分な時に限って使えるEVモードは備わるものの、エンジンがかかっている時の騒音も近所迷惑になるほどのものではないので特に必要性を感じない。またドライブモードをスポーツ、ノーマル、エコから選ぶことができ、それぞれ試して言葉どおりの特性になることを確認したが、決定的な差はなく、結局バランスのよいノーマルに落ち着く。ユーザーも半年もすればノーマルに固定ということになるのではないだろうか。

改良により、さらに追求された乗り心地

乗り心地には感心した。今回、ベースグレードとバージョンLにレクサスが世界初を謳う「スイングバルブショックアブソーバー」が採用された。複筒式ダンパーのオイル流路のひとつであるベースバルブ部分に特殊なバルブが設けられ、そのバルブが路面からの微小でゆっくりとした入力に対して抵抗となって減衰力を発生させることができるという。そのバルブの効果を個別に感じ取ることはできなかったが、エンジニアが目的のひとつだったという高速道路でのざらつきを吸収する効果は感じることができた。高速巡航時のフラットな挙動も気に入った。

途中でAVSという減衰力可変式のダンパーが備わるFスポーツに乗り換えた。こちらはドライブモードでスポーツよりもスポーティーなスポーツプラスを選ぶことができ、より引き締まった(減衰力の高い)足まわりとすることもできる。ただ、Fスポーツを名乗るならパワーアップをしていてほしかった。この点は社内にも「パワーアップすべき」「ルックスと足まわりを変えればよい」「ルックスだけ変えればよい」など、さまざまな意見があったという。

秋吉台を走行するトヨタ「レクサスES300h」(写真:レクサスインターナショナル)

ESはスポーツカーを追い回すような性格のクルマではないが、山口県美祢市の中・東部に広がる秋吉台のアップダウンを含むワインディングロードを走らせてみると望外にキビキビしていて、ポジティブな方向に裏切られた。ES試乗の2週間前に試乗した「LS」よりもステアリング操作に対してレスポンシブだった。思わず熱くなってペースアップしてしまった。長く回り込むようなコーナーで大柄なボディを感じさせず積極的に鼻先が内側を向く仕草は、カローラなどにも備わる横滑り防止装置を使って旋回性能を高める「アクティブコーナリングアシスト」の効果だろう。

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